日本も原子力発電ゼロは「達成できる」via President Online

今や再生可能エネルギー「後進国」

経団連など日本の経済界は「原発ゼロは不可能」としている。だが、三菱総研理事長で元東京大学総長の小宮山宏氏は「できるに決まっている」と断言する。小宮山氏は「脱原発は世界の潮流。米国や中国も再生可能エネルギーに舵を切った。このままでは日本は乗り遅れる」と警鐘を鳴らす――。

再生可能エネルギーのコストが原発を逆転

実際のところ、311(東日本大震災)の東京電力福島第一原発事故の後、何年間も、日本は原発ゼロの状態でやってきました。いまさら「やれるか」「やれないか」という議論をするなんてムダ。全く話になりません。

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実際は、私が当時予測していたよりも圧倒的に速いスピードで逆転しました。再生可能エネルギーのコストが安くなる一方で、原発についてはリスクの大きさがコストに加わるようになった。今や原発を新設するよりも、再生可能エネルギーの発電所を新設する方が安いのです。

実際に、2016年に世界で実行された発電所投資額の70%が、再生可能エネルギーに向けられています。ちなみに投資額の25%が火力発電所で、原発の投資額は5%に過ぎません。

再生可能エネルギーには大きく5種類、水力、風力、太陽光、バイオマス、地熱があります。このうち、その土地で一番安いものを選べばいいのです。日照時間は短くても風が強いというところは風力、水が豊富なところは水力、森林が豊富なところはバイオマス、アイスランドのように火山が多いところは地熱発電を使えばいい。世界では、その国や地域に合った再生可能エネルギーを選択し、どんどん開発を進めています。それがこの、投資額の70%という数字に表れています。

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原発は、「作るとき」と「使い終わった後」に非常にお金がかかります。でも、使っている間はとてもコストが低い。これだけ原発を作ってしまったわけですから、使い終わった後のことを考えず、使い続けていれば費用は安くすみます。つまり、今の日本は、「使い終わった後をどうするか」という問題を先送りにしているのです。

ただ、日本は東日本大震災で深刻な原発事故を起こしました。世界の国々は、「日本ですら事故を起こしたのだから、うちの国も起こすかもしれない」と、原発の稼働や新設を止めた。欧州では、新設や稼働はもちろん、将来にわたって原発は使わないと決めた国も出てきています。中国やベトナム、トルコなども、新設計画はありますが実際は進めていない。それが世界の潮流になっている。それなのに、事故を起こした当の日本が、なぜまだ原発を推進しようとしているのか。

さらに、政府は「今後もベース電源は原発で」と言っているようですが、今、「ベース電源」という考え方をしている国は、日本くらいじゃないでしょうか。

確かに風力や太陽光は、気候などによって発電量が変わりますが、水力やバイオマス、地熱は安定電源です。さらに、風力や太陽光でも、水力と組み合わせることによって、電源としての不安定さを解消できます。

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残念ながら日本は、こうした再生可能エネルギーの分野では後進国となってしまっています。ドイツでは、電力供給の30%以上が再生可能エネルギー、中国でも昨年は28%に達していますし、アメリカももうすぐ20%になります。日本は2015年現在で、わずか4.7%です。

2050年以降エネルギーコストはゼロにできる

こうした現実を見ると、エネルギー問題について悲観的になるかもしれませんが、その必要はありません。

まずは2050年の日本を描きましょう。人口は今より2割以上減少していますし、技術革新で省エネルギー化も進み、エネルギー消費量は今の半分以下になります。今よりずっと楽になります。それくらいの量は、再生可能エネルギーで十分供給できます。

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