東芝は原発事業から撤退すべき 中堅・若手社員の思い via 東京新聞

東芝は原発事業の失敗のツケを払うため、半導体事業の売却交渉を本格化させる。同時に、会社本体の再建に必要な主力事業を失うことにもなる。中堅・若手社員は迷走が続きそうな会社の将来をどうみているのか。 (伊藤弘喜)

「福島の事故が起きたのだから、原発は造らない方がいい。廃炉を除き事業から撤退すべきだ」。原発設備の溶接を手掛ける四十代男性は強調する。事故前は定期点検で東京電力福島第一原発を訪れ、事故後も汚染水タンクの据え付け工事に半年ほど取り組んだ。今では「東芝で原発を造っていると周りに言えない」。

「この半年で『原発に将来性はないから』と辞める若い人が増えた」が、自分は会社を辞めない。「私より上の世代は転職先がない。二人の子どもはまだ幼く、会社にしがみつくしかない」のが理由だ。「一生かけて廃炉に関わる」という使命もある。

IT部門の三十代男性も「損失の影響で新規事業が中断し、転職を一時考えた」と原発事業に恨み節だ。それでも会社に残るのは「仲間たちと挑む人工知能(AI)の新規事業がある」からだ。

入社動機となった「技術の会社」という印象は今でも変わらない。だが、経営危機のため、新しい主力事業の開発資金は乏しい。「一本の柱で支えるのではなく、十億円の事業を百個つくるような挑戦あふれる会社にしたい」と願う。

「職場の雰囲気は前向き」と明かすのは、売却に向け優先交渉相手が決まった半導体子会社「東芝メモリ」で働く四十代の男性技術者だ。半導体のフラッシュメモリーはスマートフォンなどのデータ処理を担い、未来は明るい。

「十分な投資をしてくれればまだまだ成長できるので、不安はない。どこに買われてもいい。もう東芝に未練はない」

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