G7外相会合 「被爆した最後の館長」が思い…10日開幕 via 毎日新聞

「人類と核は相いれず」

 10日に広島市で始まる主要7カ国(G7)外相会合に、特別な思いを寄せる男性がいる。2006年まで原爆資料館の館長を務め、「被爆した最後の館長」 となった畑口実さん(70)=広島県廿日市市。在任中、各国要人を資料館に案内し、核兵器のむごさを伝えた。11日には核を保有する米英仏の外相が初めて 資料館を訪れる。「人類と核は相いれない。展示を見れば分かってもらえる」と力を込める。

(略)

 転機は51歳だった97年。人事異動で原爆資料館の館長に命じられた。海外での核実験のニュースを聞くにつれ、「館長の私が、誰よりも核廃絶を訴えなけ ればならないのではないか」と考えるようになった。父の墓から遺品の懐中時計とバックルを取り出し、海外の要人を案内する時に持ち歩いた。真剣に聞いてく れそうな人には遺品を見せ、父のエピソードを語る。核廃絶への思いが伝わると、「やっていて良かった」と思った。

 00年に米国で開催されたNPT(核拡散防止条約)再検討会議の前、議長を務めるアブダラ・バーリさんが広島を訪れた。父の遺品を見せると沈黙し、目が 真っ赤になった。「あなたの話を聞いて感動した。会議を成功させたい」と語り、畑口さんが胸に付けていた広島平和文化センターのバッジを持ち帰った。その 年のNPT会議は「核兵器廃絶の明確な約束」を盛り込んだ最終文書を採択している。

 リーダーが変われば、政治が変わることがある。「核兵器廃絶に向けて必要なのは、人を心の底から突き動かすこと。それができるのはヒロシマとナガサキだ け」と指摘し、「外相会合では、これまでに出たどんな取り決めよりレベルの高い、具体的な核廃絶へのロードマップを示してほしい」と語った。【竹下理子】

全文はG7外相会合 「被爆した最後の館長」が思い…10日開幕

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