原発と放射能を正しく学ぶ(10月4日)via 福島民報

(抜粋)

東日本大震災から4年半が過ぎたが、中間貯蔵施設の計画の進捗[しんちょく]状況も鈍く、汚染水処理の問題も解決していない。事故を起こした1号機など でロボットを使った原子炉格納容器の内部調査を始めたばかりで、いまだに実態は把握できていない。もどかしさを感じていた。
このような折に 『原子・原子核・原子力』(岩波書店刊)を手にした。著者の山本義隆氏は「わたしが講義で伝えたかったこと」という副題をつけているように、ある予備校で 行った講演を後から整理して補筆したものを出版した。講演の対象は高校生・高校卒業生・大学生たちになる。
書名から物理を苦手とした私には無理なのではと思ったが、山本氏は前書きに「福島の原発事故があったからこそ、最低限は知っていなければならないということで難しい話はしませんので、気楽に聴いてください」と。この言葉に背中を押され読了した。
70年前の原爆投下について、私はひとくくりにしていたが、広島にはウラン爆弾が、プルトニウム爆弾は長崎に投下されたことなどをあらためて教えられた。
原発を稼働するには濃縮ウランが必要で、そのためには天然ウランを確保しなければならず、膨大な土砂や岩石を地下から掘り出すなど人為的にウラン資源を用 意しなければならない。核分裂エネルギーを発した後は「使用済み核燃料」となり、冷却保存し続けている。周知のように青森県六ケ所村は「再処理工場」「ウ ラン濃縮工場」「MOX燃料加工工場」などの核燃料サイクル基地となっている。
つまり、原発は放射性廃棄物という核のごみを出し続けている。課題はすべて次世代に先送りされている。福島第一原発事故直後に、ドイツは脱原発宣言をした。
1970年代初め、アメリカの原発メーカーのGE(ゼネラル・エレクトリック)社が日本での稼働に当たって数社の企業技術者の指導をしたが、安心・安全の 陰に隠れた1%の危険、つまりGEの津波対策への姿勢など、まだ国内の関係者たちは見抜けなかったことが、今日の大問題に至ったようだ。山本氏は講演の最 後に大学に行ってからの勉強の仕方についても次のように述べている。「専門のことであろうが、専門外であろうが、自分の頭で考えて自分の言葉で自分の意見 を述べることができるようになるために、勉強するのです」と。

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