対岸の原発㊦ 地元同意どこまで 小泉氏「範囲拡大すべき」 via 大分合同新聞

よく晴れた日は、肉眼でもシルエットが確認できる。国東市武蔵町にある大分空港近くの高台。海の向こう、約55キロ先の愛媛県佐田岬半島に、四国電力伊方原発がある。
「われわれに何の説明もない」。国東市の三河明史市長は、伊方3号機の再稼働に向けた手続きが進む中、事業者である四国電の姿勢に不満を感じている。
伊方で重大事故が起きれば、大分県にも放射性物質が飛来する可能性がある。大分合同新聞社が7月、大分県沿岸部の市町村長を対象に実施したアンケートでは、四国電に情報公開を求める意見が目立った。
三河市長は「海を挟んだ九州とはいえ、近い自治体には安全性などについて直接、説明するのが筋ではないか」と指摘する。
四国電は7月、大分県庁を訪問して3号機の審査合格を報告したことはあったが、県内市町村への説明はないまま。同社は「大分県には愛媛県からさまざまな情報が伝わっていると認識している。現時点で当社からの直接の説明は考えていない」としている。

再稼働をめぐる今後の焦点は「地元同意」の行方だ。ただ「地元」がどの範囲を指すのかは明確化されておらず、あいまいだ。
8月に再稼働した九州電力川内原発(鹿児島県)のケースでは、同意の範囲は県と立地する薩摩川内市に限られた。一方で、全国各地の原発周辺自治体では立地 自治体並みの発言権を求める声も強く、北海道函館市は津軽海峡を挟んだ大間原発(青森県大間町)の建設無期限凍結を求め、東京地裁に提訴した。

(略)

「原発立地自治体だけがオーケーすればいいという問題じゃない」
9月16日、愛媛県松山市内のホテルで開かれた記者会見。原発ゼロ社会の実現を掲げる小泉純一郎元首相は、原発の再稼働に必要な「地元同意」の手続きが事実上、立地自治体だけに限られている現状について問われ、こう指摘した。
「原発事故を起こしたら(影響は)一地域にとどまらない。広い範囲に及ぶんだから。(地元同意も)当然、範囲を広げて取り組むことが重要だ」

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