◇検察審査会「業務上過失致死傷罪で起訴」と起訴議決公表
2011年の東京電力福島第1原発事故を巡り、東京第5検察審査会は31日、東京地検が2度にわたって容疑不十分で不起訴とした東京電力の勝俣恒 久元会長(75)ら旧経営陣3人を、業務上過失致死傷罪で起訴すべきだとする「起訴議決」を公表した。第5検審は「3人は『万が一にも』発生する事故に備 える責務があり、大津波による過酷事故発生を予見できた。事故を回避するため原発の運転停止を含めた措置を講じるべきだった」と指摘した。3人は今後、裁 判所が指定する検察官役の弁護士によって強制起訴される。
議決は17日付。他に武黒一郎(69)、武藤栄(65)の両元副社長が起訴議決を受けた。第5検審は、3人が事故を未然に防止する注意義務を怠 り、原発建屋でがれきに接触するなどした東電関係者と自衛官13人を負傷させ、福島県大熊町の双葉病院から避難をした入院患者44人を死亡させたと認定し た。
三陸沖から房総沖で大地震が起きるとした政府の地震研究機関の予測に基づき、東電は08年、想定される津波の高さを最大15.7メートルと試算し た。こうした経緯から、3人が巨大津波の発生を事前に予測できたか、予測を踏まえて対策を取れば事故を回避できたかの2点が焦点となった。
(略)
◇東京第5検察審査会の議決骨子
▽旧経営陣3人は、津波による事故が「万が一にも」「まれではあるが」発生した場合に備える責務があり、過酷事故の発生が予見できた
▽適切な安全対策を検討している間だけでも運転停止を含めた津波対策を講じていれば、事故は回避できた
▽事故の被害者は、がれきに接触するなどして負傷した東電関係者・自衛官13人と、双葉病院から避難して死亡した入院患者44人
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