■第7位 マヤーク核爆弾生産コンビナート、ロシア共和国/ Mayak, Russia
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放射性廃棄物の入ったタンクは、崩壊熱により高温となるため、絶えず冷却をつづける必要がある。ところが1957年9月、この冷却装置が故障し、 300立方メートルのタンク内の温度は急上昇し、大爆発を起こした。これを「キシュテム事故」と言い、最大100トンの放射性廃棄 (radioactive waste)が大気中に放出され、広範なエリアを汚染。結果、40万人を超える人々の頭上に放射線が舞いそそぐことになった。
今日、この広域汚染は「ウラルの核惨事」と呼ばれ、1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故、2011年の福島第一原子力発電所事故のレベル7(深刻な事故)に次ぐ、史上3番目に重大な原子力事故とされている。
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■第6位 セラフィールド、イギリス/Sellafield, UK
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1957年10月、ここで世界初の原子炉重大事故「ウィンズケール火災事故」が発生した。原子炉2基の炉心で16時間におよぶ火災が起こり、多量の放射 性物質が外部に漏洩した。避難命令がなかったため、地元住民は生涯許容線量の10倍の放射線を浴び、その後、数十人が白血病で死亡した。現在でも、セラ フィールド周辺の白血病発生率は全英平均の3倍となっている。
1981年、施設の改編にともなって、セラフィールドと改名したこのプラントは操業以来、すでに数百件もの事故を起こすとともに、周辺住民への深刻な健康被害などからつねに物議をかもしだしてきた。そして、なんとも身の毛のよだつことだが、現在では、建屋の約3分の2がそれ自体、もはや除染不可能な核廃棄物に指定されている。
その上、このプラントは毎日のように、800万リットルもの汚染水を排出し、アイリッシュ海(Irish Sea)を世界でいちばん放射性濃度の高い海と化している。イギリスはその緑の野原と起伏のある景観で知られる詩情豊かな国だが、この先進国の中心部に、 公海に有害廃棄物を垂れ流す、危険な事故多発施設がひかえているのを忘れてはなるまい。
なお日本国内の電気事業者は、青森県六ヶ所村の再処理工場が稼働するまでの措置として、フランスのアレヴァ社(AREVA NC)のラ・アーグ再処理施設と、このセラフィールドに再処理業務を委託している。
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■5 シベリアの化学コンビナート、ロシア/Siberian Chemical Combine, Russia
なにもマヤークだけが、ロシアで唯一汚染された核施設ではない。すでに40年以上にわたって、広大なシベリアの大地は、膨大量の核廃棄物を貯蔵する、白銀のゴミ捨て場と化している。
液体廃棄物の多くは、覆(おお)いのプールに格納されており、12万5000トンを超える固形廃棄物もまた決して安全とはいえない容器の中に保管されている。さらに地下貯蔵庫にはつねに地下水が進入する不安がある。
全文は地球は放射能まみれ ― 世界でいちばん放射線量の高い場所10【PART2】
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