「健康被害が出たらアンタたちは責任が取れるのかね?」。藤原保正・大谷(行政)区長は官僚に詰め寄った。=26日、参院会館 写真:筆者=
総選挙での大勝を受けた安倍政権は、原発事故を力づくで風化させるつもりだ。政府は南相馬市の特定避難勧奨地点を28日付けで解除した。
特定避難勧奨地点とは警戒区域や計画的避難区域のように面として広がりはなくても、ホットスポットのような高線量の地点。基準は原発事故発生後1年間の積算線量が20mSvを超えると推定される地点だ。
特定勧奨地点に指定されると、避難者は行政から支援を受けることができる。
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住民たちは猛反論した。「政府は一番低い所を選んで計測しているじゃないか」。政府が計測するのは、除染した直後の庭などだ。山のそばの家庭は除染しても山から放射能が降ってくる。
そもそも政府が設定した20mSv/年という基準もデタラメだ。原発作業員の被ばく上限が5年間で100mSvだから、政府は住民に原発作業員の上限を押し付けているのだ。住民が実際に浴びている放射能は、原発作業員の上限以上ということになる。
住民の間から「我々は放射線管理区域に住んでいるんだ」の声が相次いだ。
住民から「なぜ指定を解除したのか?」と追及されると、清水参事官補佐は「20mSv/年以下であれば健康被害はないから」と答えた。
計測自体がいい加減。しかも放射線管理区域と同じレベルの放射線量の強要。健康に害がないはずはないことは、中学生にでも分かる。
指定が解除されれば、東電は補償金を払わなくても済むようになる。住民の健康よりも東電。これが政府の姿勢だ。
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