【ワシントン=共同】昨年一月に放射性物質を含む水漏れ事故を起こした米カリフォルニア州のサンオノフレ原発について、原因となった蒸気発生器の 設計上の問題点を製造元の三菱重工業や電力会社の米サザン・カリフォルニア・エジソン社が事前に把握していたことが分かった。米原子力規制委員会 (NRC)が三菱重工作成の報告書を八日までに公表した。
事故は交換したばかりの蒸気発生器の細管に多数の異常な摩耗が生じて起きた。報告書には、細管の振動に伴う摩耗を抑える設計変更を二〇〇五年にエジソン社と検討しながら、最終的に見送り、当初設計のまま交換したことが記されていた。
三菱重工は「十分に検討し、当初設計のままで安全性が保てると評価したが、実際には予想外の振動現象が起きた」とコメント。環境保護団体は「設計変更で運転が遅れるのを避ける意図があったのではないか」と指摘している。
同原発は一二年一月に3号機で水漏れが起きて緊急停止。停止中だった2号機も調べると、四つある同じタイプの蒸気発生器に計約一万五千カ所の摩耗 が見つかった。蒸気発生器は〇九~一一年にかけて細管を増やした新しいものに交換したばかり。その後のNRCの調査で、内部を通る蒸気の影響で細管が振動 し、細管を支える部分との接触などで摩耗し穴が開いたことが判明した。
同原発は事故後一年以上も運転を停止した状態。エジソン社はまず2号機の蒸気発生器を修理し、振動を抑えるために出力を落として再稼働する計画をNRCに提出している。