安倍新政権に立ちはだかる「核廃棄物」の壁 いますぐ取り組むべき「五つの政策」via 日経ビジネスオンライン

(抜粋)

田坂:実は、原子力のバックエンド問題の専門家の立場から見るならば、「原発ゼロ社会」というのは、現状では、目指すか目指さないかという「政策的な選択」の問題ではなく、避けがたく到来してしまう「不可避の現実」だからです。

(略)

私自身は、原子力のバックエンド問題の専門家の立場から「原発推進」に20年間携わってきた人間ですが、その専門家として私が提言すべきことは、どの政権に対しても変わりません。

では、安倍新政権は、その「深刻な現実」を直視するならば、原発政策について、何から取り組むべきでしょうか?:

田坂:もう一度申し上げますが、「脱原発」の立場であろうとも、「原発維持」の立場であろうとも、いま、政権を担う者が取り組まなければならない政策は、極めて明確です。

(略)

それは、「核廃棄物の最終処分」の政策です。

「核廃棄物」(Nuclear Waste)とは、「使用済み核燃料」(Spent Nuclear Fuel)と「高レベル放射性廃棄物」(High-Level Radioactive Waste)の総称であり、「使用済み核燃料」を再処理して、ウランとプルトニウムを取り出すと、後に残るのが、極めて危険性の高い「高レベル放射性廃棄 物」です。

安倍新政権は、この「核廃棄物の最終処分」の問題と、その前段の「使用済み燃料の長期貯蔵」の問題に、直ちに着手すべきでしょう。それが第一の政策です。

なぜなら、この二つの問題に明確な「解決への道筋」を示さないかぎり、たとえ「原発の安全性向上」を徹底的に行い、「絶対に事故を起こさない原発」を開発したとしても、原発は、早晩、止めなければならなくなるからです。

その理由は、昔から指摘されていることですが、「核廃棄物の最終処分」の方策を見出さないかぎり、原発は「ゴミの捨て場が無い」というだけの理由で、いずれ、止めざるを得なくなるからです。

実際、全国の原発サイトの「使用済み核燃料貯蔵プール」は、もし原発を順調に再稼働できても、平均6年で満杯になる状況にあり、青森県六ヶ所村の再処理工場の核燃料貯蔵プールも、すでに満杯近くなっています。

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2 Responses to 安倍新政権に立ちはだかる「核廃棄物」の壁 いますぐ取り組むべき「五つの政策」via 日経ビジネスオンライン

  1. yukimiyamotodepaul says:

    田坂氏は「長期貯蔵」が「一万年後の安全」の保証問題に繋がる難しさ、また「国家戦略というものは「博打」ではありませんので、「恐らくこうなるだろう」という希望的観測や、「こうなって欲しい」という主観的願望の混入した政策的判断で決めるべきではありません。「地層処分は、何とか実現できるだろう」や「地層処分が実現できると良いのだが」という判断で決めるべきではないのです。 」と指摘しつつも、(「安倍新政権は、いずれにしても、現状では「地層処分」ができないことを前提として、使用済み核燃料の「長期貯蔵」の計画を準備していくべきでしょう。」と言って、最終的には「すべての都道府県が、過去に恩恵に浴した原発電力量に相当する使用済み核燃料の長期貯蔵を引き受ける」という法律を検討すべきでしょう。 」といった提案をします。この提案の是非はともかく、実際に現存する使用済み核燃料を考えず、新規の原発建設といったことがいかに荒唐無稽か、という点を浮き彫りにする意味では納得です。

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