衝撃的被曝で「ずさん」続々 核物質26年放置 除染不十分 汚染室内に3時間… via 産経ニュース

日本原子力研究開発機構「大洗研究開発センター」(茨城県大洗町)の被曝(ひばく)事故で、数々の「ずさん」が露呈している。当初発表された「2万2000ベクレルの体内被曝」という衝撃的な数値は、体表面の放射性物質も検出していた可能性があり、信用性が消失。事故想定の甘さから、作業員を退出させる準備に手間取ったことも分かった。高速増殖原型炉「もんじゅ」の廃炉などに続き、機構への信頼が揺らぐ事態が続いている。(社会部編集委員 鵜野光博)

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規制委によると、改善指示後、同センターでは貯蔵施設外に置かれた核燃料物質が新たに見つかった。燃料研究棟にはすでに上限の80個の貯蔵容器がある。機構は貯蔵施設のスペースを空けるため、2月から80個の容器の中身の確認を始めた。これが点検の目的だ。すでに31個の点検を終え、より雑多な核物質が入っている容器を今回初めて開封したところ、事故に至ったという。

袋が破裂した容器は平成3年に封印され、以来26年間、開封されていなかった。中身について機構は「どういう物がどういう形態で入っていたのか、古いので特定できていない」としている。

汚染された部屋に3時間とどまる

作業員は同11時37分、自分たちの手足が放射性物質で汚染されていることを確認。報告を受けた機構は正午、現地対策本部を設置した。その後、部屋から5人の退出が始まったのは午後2時半だった。作業員は放射性物質で汚染された部屋に3時間以上、とどまっていたことになる。

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機構は事故当日の6日午後6時52分、「全員の除染が完了」とし、5人は別の施設に移動。そこで50代作業員から2万2000ベクレルが検出された。ところが、7日に5人を受け入れた放医研は「4人に体表面汚染が確認された」と公表。機構の除染が不十分だった可能性が高く、機構が十分な除染をせずに作業員を施設外に出してしまったことも明らかになった。

ただ、5人のうち3人は機構の鼻腔内検査で最大24ベクレルのアルファ線が検出されており、内部被曝の恐れは依然残っている。放医研によるプルトニウム以外の核種の検出についても、機構は「把握していない」としている。内部被曝については、放医研が排泄(はいせつ)物の検査なども含めて慎重に評価を行っている。

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機構は19日までに規制委に対し、今回の事故の状況と処置を報告することが法令で義務づけられている。袋はなぜ破裂したのか。今回の貯蔵容器と同種のものとされる容器は、同センター内にあと20個あるという。その点検をどうするのか。汚染された108号室への対処は、そして5人を今後どのように遇するのか。さらなる失点は許されない状況にある。

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