東京電力福島第1原発事故に伴う福島県の「居住制限区域」と「避難指示解除準備区域」について、自民党が14日、遅くとも事故から6年後までに避難指示を解除し住民帰還につなげる考えを国への提言に盛り込む方針を固めたことに対し、避難者や地元首長からさまざまな声が上がった。
「期限を切ることで福島全体の復興加速につながる」と賛意を示したのは飯舘村の菅野典雄村長。帰還困難区域を除き、村は2017年3月までの避難指示解除を目指す。「6年を超えると賠償面で帰還困難区域と違いがなくなってしまう」と指摘した。
浪江町も17年3月以降の避難指示解除を目指すが、馬場有町長は「除染やインフラ復旧の状況を考慮すると解除は厳しいかもしれない」との見方を示した。町は来年、放射線などの専門家を交えて帰還に向けた具体的な検討を始める予定で「帰還時期は町として総合的に判断する」と話した。
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村で農業を営んでいた長谷川健一さん(61)は「自立のためのケアなど話し合いの場も全くない状況で、解除時期だけが先行するのはおかしい。安心して生活できる状況を見極めて示すのが先だ」と批判した。
浪江町から避難し、福島市の災害公営住宅に住む無職遠藤義雄さん(74)は「避難指示が解除されても若い人はほとんど戻らないだろう。みんな国に不信感を抱いている。『安全だ』と言われても信頼できない」と突き放した
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