厳しく管理されているはずの劣化ウランとみられる放射性物質が、誰でもアクセスできるオークションサイトに出品されていた。出品者の男性は警視庁に「海外のサイトで購入した」と説明しているが、詳しい入手経路や目的は分かっていない。なぜ、どこから流出したのか。警視庁生活環境課は近く本格捜査に乗り出し、事件の全容解明を目指す。【安藤いく子、鈴木理之、岩間理紀】
捜査関係者によると、出品者の男性は「ウラン 99・9%」とうたい、オークションサイトで放射性物質を出品していた。警視庁が男性から事情を聴いたところ、「物質は劣化ウランだ」と説明したという。
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ただイラク戦争では米軍によって劣化ウラン弾が使用され、戦場となった地域には弾頭が残っている。またソ連崩壊後は大量の核関連物質が流出したと言われており、こうしたルートから流通した可能性もある。
今回の事件との関連は不明だが、米国の通販サイトではウラン精鉱(イエローケーキ)と称する物質が1グラム3000円ほどで販売されているのが確認できた。配送先は「米国国内に限定」とされているが、第三者を介したり、品目を偽ったりすれば輸入は可能だ。
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入手目的は分かっていないが、過去の事件では、大学教授が研究目的で密輸したケースがあった。希少鉱物や科学愛好家などがコレクション目的で購入することもあるという。
専門家は「ダーティーボム(汚い爆弾)」として悪用されることを懸念している。ダーティーボムは、IAEAが分類する4種類の核テロのうちの一つで、各国が対策を進めている問題だ。
全文は原子炉等規制法違反 「海外サイトでウラン購入」出品者説明 テロ流用懸念も
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ウランと劣化ウラン
ウランは放射線を出す元素の一種で、原発の燃料や核兵器に使われる。自然界の天然ウランのうち、核分裂しやすいウラン235は0・7%で、残りの99・3%を占めるウラン238は核分裂しにくい。原発用の燃料加工や核兵器製造では濃縮してウラン235の割合を増やしている。劣化ウランはこの濃縮過程などの廃棄物として生じる。天然のウランよりもウラン235の含有量は低く、放射線量も小さい。