終末時計公表 人類滅亡まで「なぜ2分前?」 疑問の声に答えた主催者の言葉とは… via Aera.dot

人類滅亡まで残り2分――。米科学者らが1月24日(日本時間25日)に発表した「終末時計」は、最も危機的とされた昨年の「2分前」から変わらなかった。ネットで世界配信された記者会見で、主催者は「過去最悪」の危機感を強調したが、視聴者からは主催者の現状認識に違和感を示すコメントが相次いだ。時間据え置きの判断はどのようにされたのか。

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広島や長崎への原爆投下を受けて1947年に創設された終末時計の最初の時刻は「7分前」だった。これまでで終末に最も近づいたのは「2分前」。冷戦時代のまっただ中、米ソによる水爆実験で核開発競争が加速した53年と、北朝鮮の核開発が最大の脅威と認識された2018年だけだ。その過去最悪の現状認識が、今年も維持されたことになる。

「すでに午前0時でもいいような状況だ」
「現状を踏まえれば1分前になると確信していた」
「1分前でないなら、少なくとも1分40秒前にするべきだ」
「私は1分30秒前になると思っていた」
「1分59秒58」
「北朝鮮の核問題は改善している。むしろ、終末から遠ざかったのでは?」
「今後はトランプ(米大統領)がますます時計を進める」

終末時計が「2分前」から変わらなかった発表に、記者会見がライブ中継された主催誌のフェイスブック上では、疑問を呈するコメントが相次いで掲載された。第2次世界大戦以来、最悪の状況に世界は置かれているという危機感よりも、時計の針が1秒も変わらなかったという同誌の現状認識への違和感が示された形だ。混乱深まる世界情勢を懸念する一般社会の体感の表れだった。

そんな雰囲気を感じ取ったのか、記者会見で質問を受けた同誌7人のうちの1人が、語気を強めて強調した。

「終末時計が過去最悪の2分から変わらないこと自体が最悪だ。それこそが、われわれが伝えたいメッセージだと思ってほしい」

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ブロンソン社長によると、今年の終末時計の検討が始まったのは昨秋、キーワードは最初から「ニューアブノーマル」だった。より安全で健全な世界を前進させるための国際合意形成でリーダーシップをとってきた米国が、背を向け、「致命的で危険な離脱」をしたことに対する現状認識から生まれた言葉だったという。事実とフィクションの区別が困難となり、大きな問題解決に必要な能力を傷つけていることもニューアブノーマルの象徴の一つだとした。

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また、90年の発表から終末時計の判断要素に加わった気候変動問題では、脱炭素に対する世界の取り組みがなかなか進まない現状を問題視。パリ協定から離脱した米国が、一部の国と組んで、国際社会の努力を妨げようとしているとして批判した。

加えてサイバーテロの脅威やフェイクニュースの氾濫など「情報環境」を取り巻く状況の深刻化、技術革新が続くIT分野での技術悪用への懸念なども判断材料にしたと説明。

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いずれにしても過去70年の平均で、時計の針が実際に動かされるのは数年単位だった。しかし、17年、18年と2年連続で時計の針が30秒ずつ終末に近づいた。これまでの平均的な傾向と比べると、2年連続は異例だったと言える。それだけ危機感が強まったことを意味するが、その傾向が継続する中で、今年は状況の推移を注視する時だった。それだけに時計の針を動かす年ではなかったとも言える。

この70年間で「2分前」を切ったことは一度もないだけに、そうなる前の最後の宿題として、現状の改善努力を世界各国へ呼びかける今年の終末時計だったように感じた。

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