「核」への投融資に厳しい目 金融機関、世論に配慮via 毎日新聞

 りそなホールディングス(HD)が核兵器製造企業への融資禁止を宣言した背景には、ESG投資の世界的な広がりがある。環境破壊や非人道的兵器の製造については、当事者の企業だけでなく投融資する金融機関にも厳しい目が注がれており、配慮せざるを得なくなっている。【竹下理子】

 

 武器・兵器の製造企業を投資対象から外すのはESG投資の基本的な手法として知られている。過去には対人地雷やクラスター弾への国際的批判が高まった結果、金融機関が相次いで投融資を禁止したケースがある。

 2017年7月に採択された核兵器禁止条約は、69カ国・地域が署名。これまでに19カ国・地域が国内手続きを終え、50カ国・地域に達すると90日後に発効する。条約は核兵器の開発・保有・使用などを禁止しており、専門家によると、投融資は禁止項目に含まれる「援助」にあたる可能性もある。欧米の主要先進国や日本、中国、ロシアなどは署名していないが、国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)傘下の「パックス」(本部・オランダ)に所属するスージー・スナイダー氏は「発効を先取りし、条約違反に問われるリスクを減らそうとしている」とみる。

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一方、日本での動きは鈍い。投資コンサルティング会社「ニューラル」(東京都品川区)の夫馬賢治社長は理由について「政府が条約に署名せず、米国の『核の傘』の下にあるという意識が強いため」と分析。「どのような意思を持つのか説明するのは、市民からお金を預かる金融機関の責任だ」と指摘する。

 とはいえ、海外事業を拡大させている大手金融機関は国際世論に敏感になっており、近年は温室効果ガスを大量に排出するとして批判のあった石炭火力発電への投融資を原則回避する方針を相次いで打ち出した。水口剛・高崎経済大教授(経営学)は「欧米ではESG投資の推進に関わる組織が多く、関心が高い。核融資禁止についても海外の動きが加速すれば、日本の金融機関への圧力になる」と語る。

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