小泉氏、原発ゼロの執念「大義名分 全部ウソだった」via 朝日新聞

(抜粋)

小泉は今回、朝日新聞のインタビューに、その時の気持ちをこう語った。

「そら、みろと。原発は争点にならなかった、これで小泉・細川も『原発ゼロ』運動をやめるだろう、という声が入ってきた。それへの反発の気持ちもあった。終わったんじゃない、これから始まるという意欲を示したいとファクスを送ったんだよ」。やめるつもりはさらさらなかった。

そんな小泉に熱い思いを抱いたのが、全国の原発差し止め訴訟にかかわる弁護士の河合弘之(74)だ。

今までの反原発運動は主に左翼が担っていたが、この運動には保守層も引っ張り込まないと実らない。だからこそ、小泉と組まねば。河合はそう思い定めた。

もっとも、小泉に近づくツテがない。あの手この手、なんでも探った。すがりついたのは、小泉と河合という2人の「闘士」をそれぞれ本に描いた作家・大下英治(74)だった。大下が間に立って15年6月、ようやく杯を交わすことができた。「胸襟をひらいて話し合って、すぐに肝胆相照らした」と河合。

河合は懇意になった小泉に相談を持ちかけた。原発を進める大手電力は電気事業連合会(電事連)という組織のもとに団結している。なのに、脱原発再生可能エネルギーの組織は全国でばらばら。「こっちも団結しないといけないのでは?」。河合がそう問いかけると、小泉は「いいね、やろうよ」。そうして17年4月の「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟(原自連)」の結成にいたる。

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「原自連」の顔役である小泉の役職は顧問。実際のトップ、会長は大手信金・城南信金元理事長の吉原毅(よしわらつよし)(63)である。

およそ一回りも年の離れたこの2人を一人の経済学者がつないだ。13年1月に亡くなった元慶大教授の加藤寛(ひろし)(享年86)だ。

ともに慶大出身の2人にとって加藤は恩師だった。加藤は国鉄民営化消費税導入にかかわり、「小泉構造改革」もそのブレーンとして支えた。その加藤は吉原に請われて12年11月、城南信金のシンクタンク城南総合研究所の初代名誉所長に就いた。所長が吉原だった。

加藤の遺作となった本のタイトルは、その名もずばり「日本再生最終勧告 原発即時ゼロで未来を拓(ひら)く」(ビジネス社)だ。加藤はその巻頭に城南総研のリポートへの寄稿文を再掲している。原発への激烈な批判の言葉が並ぶ。

「原発はあまりに危険であり、コストが高い。ただちにゼロにすべきです……(大手9電力は)原子力ムラという巨大な利権団体をつくって……国家をあやつるなど、独占の弊害が明らか」

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加藤逝去後の13年8月、小泉はフィンランド高レベル放射性廃棄物最終処分場オンカロを視察、「原発ゼロ」に踏み込む。同年11月の記者会見で、それまでの原子力政策を舌鋒(ぜっぽう)鋭く批判した。

最終処分場のメドをつけられると思う方が楽観的で無責任すぎる」

吉原といえば10年11月、城南信金の元会長の相談役による「組織の私物化」があるとして、理事の多数の理解を得て相談役らを解任、自ら理事長になった経歴をもつ。そして経営改革の取り組みが軌道に乗ったと思った矢先の11年3月、東日本大震災東京電力原発事故が起きた。

城南信金は11年4月、「原子力エネルギーは一歩間違えば取り返しのつかない危険性を持っている」と、吉原の思いが詰まった脱原発宣言をホームページに載せた。その延長線に加藤を名誉所長に招いた城南総研設立があった。

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「原発は安全、コストが安い、クリーンなエネルギー。経済産業省が言う3大大義名分は全部ウソだった。これは黙って寝てはいられないな、と」。行動の原点には、原子力政策で官僚らにだまされていたとの強い憤りがある。

小泉のそんな熱い思いにひきつけられ、多くの「同志」が原自連に集う。顔ぶれは多彩だ。浜松での講演でも主要メンバーが客席の片隅に座っていた。こんな人がいた。

科学技術庁長官や自民党幹事長を務めた小泉側近の中川秀直(ひでなお)(74)。原自連の17年4月の発足会見で中川はこう語っている。「自然エネルギーでやっていける時代が来た。その最先端の日本でありたい。(原子力開発を担って)一番反省しなければならない科学技術庁長官だった私が、心からそう思う」

静岡県湖西市長の三上元(はじめ)(73)は福島の事故後、元経営コンサルタントの経験から、いち早く「原発は高い」と唱えた。軽妙なフットワークで12年4月には、東海第二原発茨城県)の廃炉を訴えた東海村長(当時)の村上達也(75)らと「脱原発をめざす首長会議」を設立している。こうして、人が、運動がつながっていく。

原自連事務局次長の木村結(ゆい)(66)はチェルノブイリ原発事故後に脱原発運動に飛び込んだ「筋金入り」だ。いま、東京・四谷にある原自連事務所を守る。小泉や原自連幹事長の河合弘之に臆せずモノを言うので、「猛獣使い」と称される。

事故で会社に損害を与えたとして、東京電力の旧経営陣に約22兆円を会社に払えと求める東電株主代表訴訟の原告団事務局長でもある。「ギネス級」の請求額が話題になるが、それだけ大きな被害を表すもので笑えない。

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原自連発足から1年余りで、登録する団体数は300に達した。小泉は今回、私たちの取材にこう説明した。

「原自連は、『原発ゼロ』にしようという『炎』をね、絶やさないようにする。その拠点として各地域で地道にやっていく。そういう国民運動としてやっている」(小森敦司

全文は小泉氏、原発ゼロの執念「大義名分 全部ウソだった」

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