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いざ廃炉の最前線へ~東電福島第1原発・見聞録~ via Jiji.com

(抜粋)

メルヘンチックな原発PR施設

2017年12月7日。JR郡山駅(福島県郡山市)から車で約1時間40分かけ、東京電力の旧エネルギー館(同県富岡町)に着いた。原子力への理解を求め、地域との触れ合いの場として整備されたPR施設だ。

外観は、白熱電球を発明したトーマス・エジソンや、放射能を発見した「キュリー夫人」ことマリ・キュリーらの生家をイメージし、洋風に。内部にはカフェコーナーや、スタジオジブリ作品のキャラクターグッズを販売するコーナーもあった。

そんなメルヘンチックで明るい雰囲気の同館は、今や視察者の受け入れ施設として使われている。

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線量低減で負担軽く

福島第1原発の構内は、放射能汚染の状況に応じ、三つの作業エリアに分かれている。

汚染の程度が最も低いエリアは「グリーン(G)ゾーン」と呼ばれ、ここでは一般作業服と使い捨ての防じんマスクで作業できる。次が「イエロー(Y)ゾーン」。口と鼻を覆う半面マスクか顔全体を覆う全面マスクに、防護服を1枚着ることで入れる。最後が「レッド(R)ゾーン」。全面マスクを付け、防護服2枚を着る必要があるエリアだ。

東電は事故後、放射能に汚染された現場の環境を改善するため、汚染土をはぎ取り、地表にモルタルを吹き付ける舗装作業を行っている。その結果、福島第1原発の敷地の9割がGゾーンとなった。

構内に入ると、まずは「入退域管理施設」で、既に体内に取り込んでいる放射性物質からの被ばく状況を測る検査を受けた。案内役の東電社員によると、視察後にもう一度測った時との差を見るためだという

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次に、作業現場に入るための装備を身に着ける。二重の靴下と長靴を履き、用意されたベストを着ると、線量計を左胸のポケットにしまい込む。0.02ミリシーベルト被ばくするごとに、アラームが鳴る仕組みとなっている。

原発に一時的に立ち入る人の被ばく上限は0.1ミリシーベルトで、頭部X線診断(直接撮影)の1回分に当たる。顔は防じんマスクとゴーグルで覆い、頭にヘルメットをかぶった。

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汚染水は、浄化設備で「セシウム134」「ストロンチウム90」など、大半の放射性物質を除去したものだ。ただ、水と性質が似ている「トリチウム」は取り除くことができない。

タンクは2017年12月21日時点で841基あり、20年までに約137万トンを蓄えることができる見込みだが、雨水や地下水の流入などで汚染水は日々増え続けている。

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13年には、このタンクから汚染水漏れが相次ぎ、海への流出も起こった。東電は当初、16年度の早い時期に、漏れにくいとされる溶接型へ切り替えることを目標にしていたが、建造が遅れ断念。現在は、切り替え完了を18年度中とし、簡易型を使い続けている。

簡易型からの汚染水漏れは17年も発生。漏れた汚染水は設置区域を囲むせき内にとどまっているというが、そんなものを使い続けている現状に不安を覚える。

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まず不織布製の白い防護服を着る。放射線を遮る効果はほとんどないが、放射性物質が身体や衣服に付着するのを避けるためだ。次いで綿とゴムの手袋をし、ビニールテープで手首を巻いた後にもう1枚、ゴム製の手袋をする。そして防護服の上からもう1枚靴下を履き、半面マスクを着けると、ようやく装備が整った。

モルタルで舗装された灰色の斜面を歩いて降り、原子炉建屋と同じ高さの地面に着く。ここからはYゾーンだ。表示板が立ち、区画されている。

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作業床の上に行くため、階段を昇った。呼吸しづらい半面マスクと動きづらい防護服をまとっているため、息がいつもより荒くなる。「フー、フー」と音が漏れる。踊り場にあった表示板には、毎時0.12ミリシーベルトと書かれていた。

最上階は事故後、水素爆発で発生した鉄骨などのがれきが大量に散乱し、放射線量が毎時800ミリシーベルト程度(2011年9月~13年10月)あったという。このため東電は、遠隔操作でがれきの撤去や除染を進めるとともに、鉄板による遮へい体を設けることで線量を下げ、現在は毎時1ミリシーベルト以下に。

しかし、この状態にするまでの線量低減措置で、燃料の取り出し開始を2回延期。当初予定していた15年度上半期から、18年度中頃にずれ込んでいる。

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低線量エリアで最上階の説明を一通り受けると、木野参事官から「プールに近づきます」と言われた。使用済み燃料プールの近くは、放射性物質の遮へい体が設置されていないため、最上階の中でも特に線量が高い。気持ちが高ぶった。

プールに近づき、落ちないように注意しながらのぞき込んだ。しかし、12~13メートルほど下にあるという燃料は見えなかった。落下防止の青いネットが張られていることもあるが、「なくても(今は)水が濁っていて見えないでしょう」(東電社員)。

少しがっかりした時、「ピピューピ」という音が聞こえた。誰かの左胸ポケットにしまってある線量計が、0.02ミリシーベルト被ばくしたことを知らせるアラームだ。

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東電社員が持っている測定器に表示されていた数値は、毎時0.8ミリシーベルト超。原発事故に伴う避難指示の解除要件の一つが、毎時0.0038ミリシーベルト(年間で20ミリ)以下とされていることからすると、あまりにも高い線量だ。

被ばくしているのに何も目に見えず、何も感じることができない。その落差に怖さを覚えた。まさに今、廃炉作業の最前線に立っていることを感じた。

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初めて訪れた最上階の滞在時間は、被ばくの影響を考慮し、20分に限られた。今まで取材に入った原発構内のどこよりも、東電社員の緊張を感じた。

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現在、廃炉には30~40年かかると言われている。国による避難指示が出された福島県沿岸部の市町村の住民は、故郷に「戻らない理由」として、「原子力発電所の安全性に不安がある」ことを挙げる人が多い。

2016年度に行われた復興庁と県、市町村などによる避難者意向調査によると、南相馬市で54.8%、浪江町で51.5%が、戻らない理由の1位に挙げている(複数回答)。被災者が原発に脅かされない日々は、いつ戻ってくるのだろう。

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視察後、自身の線量計を見ると、0.07ミリシーベルト被ばくしていた。胸部X線検査の約1回分に当たる。内部被ばく検査は「異常なし」だった。

東電の担当者は、2年間ここで仕事をしていて内部被ばくに問題があった人はいなかった、と笑う。ワゴン車で旧エネルギー館に戻り、この日の取材が終わった。

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