北朝鮮染色体異常 謎の「病」数年前から 核実験場近く via 毎日新聞

 頭痛や吐き気が続く。「もしかしたら」と受けた検査で「染色体異常がある」と診断された。北朝鮮の核実験場=咸鏡北道(ハムギョンプクド)吉州(キルジュ)郡豊渓里(プンゲリ)=から約20キロの集落から来た40代男性は、「核実験による放射線被ばくの疑い」という言葉に強い衝撃を受けた。地元では数年前から原因不明の体調不良が続出し、放射線の知識が乏しい住民らは「鬼神(クィシン)病(おばけ病)」と呼んだ。今も住民の多くが事情を知らされないまま、核実験場近くで生活を送る。「吉州郡の人たちが心配だ」。男性は故郷の今後を案じている。【ソウルで竹内麻子】

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この男性に限らず、吉州郡からの離脱住民(脱北者)が亡命先の韓国で体調不良を訴える例が相次いでいる。

 SAND研究所の調査を受けた一人の50代女性は13年の核実験後に脱北した。数年前から頭痛に悩まされ、今も睡眠薬を飲まなければ夜も眠れない。「北朝鮮にいた時には、放射線に関する知識がなく、判断がつかなかった」。女性は韓国に亡命して初めて放射線の危険性を知った。「付近住民に何も知らせずに核実験を強行している」と北朝鮮当局に対する怒りをあらわにした。

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一方、核実験場内での健康被害を語る脱北者も出てきた。豊渓里で約20年暮らし、10年ごろに脱北した金平岡(キムピョンガン)さん(50代)は、夫が核実験場の技官だった。20年近く働いた夫は皮膚がただれ、歯が全て抜けた。その後、起き上がれなくなり、00年代後半、50代で亡くなったという。

 夫は家庭では核開発についてほとんど語らなかった。ただ、00年代初めに北朝鮮の核開発疑惑が浮上したころ、朝鮮中央テレビが疑惑を否定する見解を報道した際、夫は「俺が今(核兵器を)作っているのに。共和国(北朝鮮)はうそをついている」とつぶやいたという。「放射線を恐れながら働いていた」。そんな夫の姿が金さんの脳裏に焼き付いている。

 核実験場の周辺住民の安全は確保されているのだろうか……。50代女性は13年の核実験で「波のような揺れ」を感じた。40代女性は昨年9月の6回目の核実験後、故郷の親族から「大きな揺れのため、豊渓里の南にある新洞里(シンドンリ)では、造りがもろい家屋はすべて倒壊し、住民は周辺にテントを張って暮らしている」と聞かされた。情報管理が厳しい北朝鮮からもたらされる情報は多くない。核実験に伴う被害の把握が遅々として進まない現状に脱北者らはいら立ちを感じている。

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