再稼働前パブコメ激減 原発審査に関心低下? via 佐賀新聞

規制委、情報発信に課題

原子力規制委員会が、原発再稼働に条件となっている審査の中で実施する意見公募(パブリックコメント)の件数が、2014年9月に最初の審査合格となった九州電力川内原発(鹿児島県)では約1万7千件に上ったが、5月に合格した関西電力大飯原発(福井県)では50分の1に激減した。審査への関心低下が背景にあるとみられ、専門家は「規制委は審査内容を分かりやすく説明する努力を欠いている」と指摘。審査を巡り、広く理解を得るという課題が浮かんでいる。【共同】

■反対か慎重論

規制委は、原発の安全対策の審査結果を盛り込んだ合格証「審査書案」を了承した後、パブリックコメントを実施。その後、審査書案を決定して正式合格となる。

コメント件数は川内1、2号機の審査以降、上下はあるが減少傾向が続く。関電高浜3、4号機(15年2月合格、福井県)は約3600件、四国電力伊方3号機(同年7月、愛媛県)は約3400件、高浜1、2号機(16年4月)は合格済みの同3、4号機も対象とし約600件、関電美浜3号機(同年10月、福井県)は約1300件で、大飯3、4号機は約300件だった。

コメントの内容は審査書に反対か慎重な意見が大半を占め、「住民の避難計画も審査対象に含めてほしい」「耐震設計は、熊本地震のような繰り返しの揺れを想定すべきだ」などの指摘が並ぶ。募集コメントを科学的や技術的な意見に限定していることに関し「なぜ幅広い意見を聞かないのか」との内容もある。

(略)

一方、市民からは制度への不満も。何度も応募した東京都の主婦小川幸子さん(67)は「意見が反映されず、無駄だと諦めを感じる人が増えている」と指摘。

埼玉県に住むイスラエル人の家具職人ダニー・ネフセタイさん(60)は、日本語限定であることを「日本に暮らす外国人も事故時には被害を受ける。審査書案の英語翻訳は難しくはないのでは」と訴える。

学習院大法学部の常岡孝好教授(行政法)は「審査書案は専門用語が多く内容も膨大だ。解説資料を添えるなど、多くの意見が集まるような努力も必要ではないか」と話す。規制委は実際、審査の合格後には原発の地元住民向けに、審査書の概要を分かりやすくまとめた資料を作っている。

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