原発事故の責任をめぐって争われている裁判で、政府の事故調査委員会が行った聞き取りの記録の一部を国が黒塗りにしていることについて、東京地方裁判所は、国の対応が妥当か判断するため裁判所に記録を提示するよう求めました。非公開とされてきた証言が裁判の中で明らかになるか注目されます。
5年前の福島第一原発の事故を受けて、東京電力の株主の一部は、歴代の経営陣らに会社への賠償を求める裁判を起こし、政府の事故調査・検証委員会が当時の関係者から聞き取りを行い、国が非公開にしたり一部を黒塗りにしたりしている記録についても公開するよう求めています。
これに対して国は、「本人の同意なしに公開しないという前提だ」として争っています。
株主の弁護団などによりますと、東京地方裁判所は、一部が黒塗りになっている福島第一原発の吉田昌郎元所長や、当時の原子力安全・保安院の担当者の記録について、国の対応が妥当か判断するため裁判所に記録を提示するよう国に求めました。
今後は裁判官だけで内容を確認する「インカメラ」と呼ばれる審理が行われ、黒塗りの部分が審理の対象になるかどうか判断されます。
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