福島母激怒!県から届いた「甲状腺検査必要ない」の仰天通達【前・後編】via 女性自身

「娘は3年前に、県の検査を受けて甲状腺がんと診断されました。検査や治療をしている福島県立医大が混んでいて、再検査に半年待たされているうち に、リンパ節に転移してしまったんです。もう少し早く検査・手術ができていれば、再発や転移のリスクも減らせたはず。それなのに、検査を縮小するなんてあ りえない」(50代女性・郡山市在住)

福島県内で、甲状腺がんと診断された患者や母親が、こんな怒りの声を上げている。なぜなら、福島県で原発事故後に実施されている、子供の甲状腺検査を縮小しようとする動きがあるからだ。

福島県では、原発事故後、放射線の健康影響を調べるため、「福島県民健康調査」が実施されている。事故当時18歳以下だった約38万人に対して行わ れている甲状腺検査も、この一環。福島県が甲状腺検査を行っているのは、`86年のチェルノブイリ原発事故のあと、ロシアなどで子供の甲状腺がんが急増し たから。国際機関も、被ばくの影響で増えたと認めているがんだ。

子供の甲状腺がんは、通常100万人に2〜3人の割合で発生する病気。福島県でも事故後2巡目の検査までに、174人の子供の甲状腺がん(悪性含む)が見つかり135人が手術を受けた。それでも福島県などでは被ばくの影響は考えにくいとしている。

(略)

「今回は、反対の声が多くあがったので、検査縮小の議論を強行できなくなったのでは。注意しないと、また縮小の話しが持ち上がるかも」

実際、検査縮小の準備は、福島県自体が着々と進めていたことがわかっている。

「これ、見てください。これを読んだら、検査なんて受けなくていいと思いますよね」

いわき市から東京都に母子で避難中の今井美幸さん(仮名・40歳)は、そう言って、福島県から検査対象者に送られてきた「甲状腺検査のお知らせ」という書類を見せてくれた。そこには、現在行われている3巡目の検査について、こんな文言が書かれていた。

「甲状腺の特性上、治療の必要のない変化も数多く認めることになり、ご心配をおかけすることもあります。そのため、甲状腺の超音波検査による検診は、一般的には行われてきませんでした。(後略)」

まるで、検査を受けないほうがいいかのような書き方だ。しかし、記者が15年までに行われていた2巡目の検査対象者に送られた「甲状腺検査のお知らせ」を入手したところ、3巡目になかった文言が。

「検査1回目の受診の有無や検査結果にかかわらず、受診することをおすすめします」

福島県は2巡目の検査まではこう記し、甲状腺検査を受診することを推奨していた。さらに注目すべきなのは、3巡目の検査から検査の同意書に「同意し ません」という欄が新設されていたことだ。ここにチェックを入れると、追加で検査案内があったとしても、もう送られてくることはないという。だが事実上の “検査縮小”だと思わせる動きはこれだけではなかった。

「甲状腺検査のお知らせ」とは別に、県から送られてくるA4版4ページの「甲状腺通信」という冊子がある。

16年8月発行の1ページ目にあるQ&Aの項目には、「甲状腺検査は必ず受診しなければならないのでしょうか?」との問いが……。その答え には、「小さな甲状腺がんは、治療をしなくても多くは生命に影響しない。個別には、どれが進行する甲状腺がんなのかを十分に識別することは困難です」など と、あたかも、甲状腺検査は必要ないと誘導するかのような文章が並んでいる。

(略)

しかし14日の「県民健康調査」の在り方を議論し検査結果を評価する「県民健康調査検討委員会」の会見で「甲状腺検査のお知らせ」から受診を勧める 文言が削除されたのはなぜかと尋ねられても、担当課長は口ごもるばかりだった。県の検査に詳しい医療ジャーナリストの藍原寛子さんはこう危機感をあらわに する。

「検査に“同意しない”子が増えると、学校の検査で、受けたい子が受けづらい空気になる。検査を縮小する口実にされてしまう恐れがある」

じつは、前出の検討委員会の座長である星氏も8月の地元紙の取材に「検査することで具体的に“デメリット”を被った人もいるので、甲状腺検査の対象 者を縮小することも視野に入れ、検査体勢を再検討する」と語り波紋を呼んでいた。記者は、星氏を直撃し、縮小の論拠のひとつになっている、検査を受けるデ メリットについて聞いた。

「“デメリット”ですか? 数年ごとに検査を受けなくちゃいけないし、再検査になれば細胞診も受けなくちゃいけない。がんの疑いありと診断されたら、手術で傷が残ったり薬を飲み続けなくちゃいけなくなったりすることも」

しかし、早期発見をして治療することは、検診の“メリット”でもあるはずだが――。

(略)

子供の甲状腺検査を含む「県民健康調査」は、「県民の健康を長期的に見守る」という名目で始まっている。わずか6年目にして規模縮小の議論が出る背景について前出の藍原さんはこう語る。

「国が、低線量被ばくの影響を隠蔽し、今も続いている広島・長崎の原爆訴訟や、今後、起こるかもしれない福島の健康被害の賠償などを認めたくないからでは」

これ以上、子供の命が切り捨てられることがあってはならない。

全文は福島母激怒!県から届いた「甲状腺検査必要ない」の仰天通達【前編】

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