「チェルノブイリと福島は一つの鎖です。科学は、その前には無力なのです」――。ノーベル文学賞を昨年受賞したベラルーシの作家スベトラーナ・アレクシエービッチさん(67)が、朝日新聞記者の単独インタビューに応じた。旧ソ連のチェルノブイリ原発事故を描いてきた作家は、福島での事故同様に科学では対処できなかった現実に言及し、事故が人類に何をもたらしたのかを語った。
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広島・長崎に惨禍を招いた「軍事の原子力」に対し、安全と信じ込んでいた「平和の原子力」の事故が人類の歴史を変えたと指摘。「人間は放射線に対処する準備はできない」とし、「自然に対する人間の立ち位置を見直す新しい哲学が必要です」と述べた。また、何が起きているのか分からない時点からソ連指導部は「すべてコントロール下にある」と偽っていたと振り返り、こう続けた。「だからこそ、砂粒のような民衆の声、それら『個人の真実』を掘り起こすことが重要なのです」
福島を訪問する意向も示し、「原発事故で避難した人々と会話をし、私たちの体験したことも伝えたい。学者たちにも会って研究成果を聞いてみたい。特に作家たちが事故の意味についてどう思索を深めているかに関心がある」と話した。
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