課税「困ったら原発か」 使用済み核燃料を収入源に via 朝日新聞

 行き場のない使用済み核燃料を新たな収入源とする。そうした動きが原発立地の自治体で広がっていた。東電福島第一原発事故から5年。「使用済み燃料が留め置かれることになってしまう」と懸念の声があがる。

佐賀県玄海町

「平成29年度にはやりたい」。佐賀県玄海町の岸本英雄町長は3月10日の町議会で、法定外税の使用済み核燃料税を始めると表明した。

人口約6千人の町。歳入の6割を原発関連収入が占める。だが、九州電力玄海原発の1号機は廃炉が決まり、3、4号機の再稼働も見通せない。電源三法交付金や、経年で下がる固定資産税は、今後大幅に減る見込みだ。2017年度には地方交付税の交付団体に転落する恐れもあるという。

町が目をつけたのが原発内にたまる使用済み燃料だった。同じ九電の川内原発がある鹿児島県薩摩川内市を参考にした。「川内が取っているならうちも、と考えた。うちは廃炉で苦しいのに、金額が川内より少ないのは考えられない」。岸本町長は取材にこう話す。

ただ、課税を始めると、それで得られる4億円に依存するようになる。気付くと、カネを生む使用済み燃料は町内にずっと留め置かれ、実質的に中間貯蔵になってしまう――。こう懸念する町議もいる。

岸本町長は「原発依存度は下げたいのでジレンマは感じる。しかし、地方の小さな自治体にとって使用済み核燃料税は生きるすべだ」と言う。

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原発から2キロ。経営する民宿で、溝上孝利さん(57)は使用済み核燃料税導入の一報を聞いた。「また『困ったら原発』か」

利用者のほとんどが原発作業員で、福島の事故直後に宿泊客がほぼゼロになった。どう従業員の雇用を守るか。夜も眠れなかった。

いまは再稼働に向けた工事で作業員の宿泊が戻ったが、溝上さんは少年スポーツ合宿の誘致や街おこし活動を始めた。「原発にお世話になってきたけれど、そろそろ卒業させてほしい」

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福島原発事故から5年の3月11日。福井県西川一誠知事は県議会で、使用済み燃料廃炉中の原子炉への二つの課税を新たに始めると表明し、こう述べた。

立地自治体による課税は、76年に福井県が始めた核燃料税が皮切りだ。原子炉に入れられる核燃料の価格の5%をとった。92年までに立地の全12道県が続き、福島の事故前までに税率も12%前後まで上がった。00年代初めには、立地県が税率を上げる際に電力会社が反発し、議論を呼ぶこともあった。

福井県は福島の事故後の11年11月、核燃料税の仕組みを変えた。それまでは原発が動いているのが前提だったが、停止中も一定の税収があるよう、原発の出力に応じて課税する「出力割」を始めた。出力割も15年までに、福島・宮城両県を除く10道県が続いた。

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