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“放射能は無主物”と賠償責任を回避する東電弁護士団は本誌取材も完全無視 via 週プレNews

東京電力福島第一原発事故で飛来した高濃度の放射性物質に汚染され、休業に追い込まれた福島県二本松市内のゴルフ場がある。

このゴルフ場が東電に対して放射性物質の除去などを求め、裁判所に仮処分申請した事件を覚えているだろうか。事故で漏れ出した放射性物質は「無主物(持ち主がいる物ではない)」と東電側が主張し、世間の顰蹙(ひんしゅく)を買った事件だ。

事故発生から5ヵ月後の2011年8月に申し立てられたこの事件で東電側は「ゴルフ場を営業できるか否かについて、現実的に機能する基準として考え られるのは(同年4月に文部科学省が提示した、放射能で汚染された学校の校舎や校庭を利用する際の暫定的目安である)毎時3.8マイクロシーベルトという 値である」と主張。

「大人が任意にかつ不定期に利用するゴルフ場の営業の可否を決するに当たって、これよりも厳格な基準を採用しなければならない理由はない」と決め付けた。

子供が毎日通う小・中学校でさえ、この基準で問題ないと文科省が判断しているのに、大人が時々訪れるゴルフ場がこの線量で営業しないのは経営者側の勝手な言い分だろうーーというのである。

ただし、この「毎時3.8マイクロシーベルト」という暫定基準は、放射性物質を拡散させないため人や物の出入りを厳密に管理するよう国の法律が定め る「放射線管理区域」の基準(3カ月当たり1.3ミリシーベルト。毎時に換算すれば約0.6マイクロシーベルト)の6倍以上に相当する。そもそも文科省が 唱えた基準がひどすぎるのに、それを使って法律無視を助長する悪辣(らつ)な主張だった。

また、放射性物質の除去についても東電側は「放射性物質のようなものがそもそも民法上の『物』として独立した物権の客体となり得るのか」(訳:そも そも放射性物質は、所有権の対象となるようなシロモノなのか?)、「もともと無主物であったと考えるのが実態に即している」(訳:撒き散らされた放射性物 質は、誰の所有物でもないと考えるのが正しい)と反論。

そして、「ゴルフ場の土地上に存する放射性物質について、債務者がこれを支配するようなことは不可能である。支配し、コントロールできないような放 射性物質を排除するという不能なことを法が求めるとは考えられない」(訳:今や放射性物質はゴルフ場の土地の上にあるわけで、それを東電が勝手にどうこう することは不可能だ。東電に所有権さえない放射性物質を、東電が除染すべきであると日本の法律が要求しているとは考えられない)との屁理屈で、世界の常識 「PPPの原則」(公害発生費用発生者負担の原則)を否定。

さらには、損害賠償請求は裁判所を通じて行なうのではなく、東電側でルールを決めた「補償金ご請求のご案内」に従って請求するようゴルフ場側を諭したのだった。

(略)

このような呆れるばかりの主張を東電に授けた代理人(民事訴訟では弁護士をこう呼ぶ)が誰なのか調べてみると、我が国における「五大法律事務所」の ひとつとされる長島・大野・常松法律事務所(東京・千代田区紀尾井町)の5人の弁護士(梅野晴一郎、荒井紀充、柳澤宏輝、須藤希祥、井上聡の各弁護士)た ちだった。弁護費用もきっとそれ相応の金額にのぼっていることだろう。

そこで、同法律事務所に取材を申し込んだところ、完全に無視された。「取材には応じない」といった返事さえ寄越さないのである。

ゴルフ場側もまた、取材に応じてくれなかった。ただし、その理由は「取材に応じても何の効果もないし、何の進展もないから、もう応じていないんで す」。事故から4年が過ぎても、望んだ補償はまったく得られていないようだった。つまり、この仮処分申請で東京地裁は東電側に軍配を上げ、ゴルフ場の申し 立てを却下していたのである。

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