ジェイパーク:住民の不信感根強く 放射能漏れ事故1年 via 毎日新聞

茨城県東海村の加速器実験施設「J−PARC(ジェイパーク)」 で研究者ら34人が被ばくした放射能漏れ事故は、23日で発生から1年を迎える。運営するJ−PARCセンターは事故のあった「ハドロン実験施設」の対策 工事を進め、今秋の運転再開を目指す。しかし、国などへの事故報告が遅れたり、人為ミスで放射性物質が施設外に漏れたりしたことへの住民の不信感は払拭 (ふっしょく)されていない。

日本原子力研究開発機構と高エネルギー加速器研究機構で構成する同センターは事故当時、「管理区域での 想定範囲内の汚染」と過小評価し、国や県などへの報告が約1日半後と遅れた。さらに、排気ファンを約3日間回し続けたため放射性物質の一部が施設外に漏れ るなど、ずさんな安全管理が露呈した。

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だが、住民の不信感は根強い。東海村の主婦(43)は「センターは『住民の理解を得たい』と言っているが、実際には何の努力もしていない。住民の 不安を分かっていないのではないか」と話す。同村の「原発事故からくらしを守るネットワーク」副代表、阿部功志さん(59)は「センターは運転再開のこと しか頭にないように映る。体質が事故前から変わったとは思えない」と批判している。

池田裕二郎J−PARCセンター長は「住民の信頼を回復することが課題」と述べ、住民懇談会を開く意向を示している。【蒔田備憲】

【ことば】J−PARCの放射能漏れ事故

ハドロン実験施設で、陽子ビームを金に当てて素粒子を発生させる実験中、ビームの強さが通常の400倍となり金の一部が蒸発、生成されていた放射性物質が飛び散った。ビームの異常は電源基板の劣化による誤作動が原因だった。

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