「ご当地電力」が一堂に 現代の「自由民権運動」via 東京新聞

歴史的瞬間に立ち会ったのかもしれない。

 福島市で一日、コミュニティパワー国際会議2014in福島が開かれた。内外の再生可能エネルギーの関係者が集まった。コミュニティパワーとは「ご当地電力」とも呼ばれる、地域主体の発電事業だ。

 基調講演で「初めは無視される。次に笑われる。そして攻撃される。ついに勝利だ」という意味のガンジーの言葉が紹介された。

 会議の終了後、記念撮影のため、事業化に取り組んでいる人たちが壇上に上がった。百人を超えていた。老若男女。服装もまちまち。みんな笑顔がすてきだった。面白いことに、参加者自身が壇上に集まった人の多さに驚いていた。

(略)

夜の懇親会会場は、酒蔵を生かした大和川酒蔵北方風土館。蔵のまちとして知られる喜多方市だが、始まりは地元 の造り酒屋大和川酒造の先代佐藤彌右衛門(やうえもん)さんだという。「岐阜県高山市を手本に、七千万円をかけて蔵を保存した」と、当代の彌右衛門さんに 聞いたことがある。先代は、周囲から笑われたそうだ。

 当代は再生可能エネルギーの発電会社「会津電力」の社長も務める。「会津地域二十八万人の燃料代は年間約百億円。地元で賄えば、お金が外に流れない」。商売よりも地域のために。血は争えない。

 福島県は福島第一原発事故から四カ月後、脱原発を宣言した。今は二〇四〇年までに再生可能エネルギーで全電力をまかなうことを目標にしている。

 国際会議の主催は環境エネルギー政策研究所。所長の飯田哲也さんは山口県人で、戊辰戦争以来、会津にとっては憎き長州人だ。「日本の夜明け」を前に、歴史的和解が成立したようだ。喜多方市の女性は「これは自由民権運動なんですね」と言った。

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