県など 新政権の対応注視
落下した装置の回収は果たしたものの、福島第一原発事故の影響で先行きが見通せなくなっている、日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」(敦賀市で、本社機から)日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」(敦賀市白木)で、炉内中継装置落下トラブル【クリップ】が起きてから26日で1年となる。この 間、機構は装置の回収を終え、原子炉内の完全復旧へ作業を進めているが、一方で福島第一原発事故の影響により、廃炉の議論さえ取り沙汰され始めた。近く発 足する見通しの新政権が、もんじゅに対してどのような姿勢で臨むのか、県内の関係者は注視している。(冨山優介、高橋健太郎)
■問われる役割
8月8日の衆院予算委員会で、服部良一委員(社民党)が菅首相に詰め寄った。「もんじゅを廃炉にすると、おっしゃってくださいよ。どうですか」。 菅首相は自らの「脱原発依存」発言に触れたうえで、「原発依存の中には『もんじゅ』なども含まれている」と応じる。明言こそ避けたが、近い将来の廃炉を認 めたかのような答弁だった。
もんじゅは、通常は核分裂しない「燃えないウラン」を、「燃えるプルトニウム」に変え、理論上は消費する以上の核燃料を生み出せるとされる。福井 大国際原子力工学研究所の竹田敏一所長は「85年分とされているウランの資源量が、高速増殖炉を活用すれば約2500年分に増える」ともんじゅの役割を強 調する。
しかし、原発への依存を段階的に下げ、最終的に原発を全廃するとなれば、核燃料資源は不要となる。もんじゅの存在意義も当然、なくなるというわけだ。
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