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特集ワイド:日本よ!悲しみを越えて 歌人・俵万智さん via 毎日新聞

2012年02月24日 東京夕刊

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俵さんは03年11月に未婚のまま、男児を出産したシングルマザー。一人息子の匠見君を育てながら都心 で創作を続けていたが、幼稚園入園を控えて06年に、両親が老後の家を求めた仙台市に移り住んでいた。「母が仙台出身で、父も東北大大学院で学びました。 子どもの頃からなじみの深い土地だし、息子を土の園庭で伸び伸びと遊ばせてあげたくて。東京へも日帰り圏内だし、引っ越したんです」

それから4年余り。かつて家族や恋愛模様をうたっていた歌人の関心の対象は、最も大切な存在である息子 へと移った。<だだ茶豆、笹(ささ)かまなども並びおり仙台の子のおままごとには>。母親の眼差(まなざ)しに仙台の風土を織り交ぜた作品を詠むように なったが、震災がそれを中断させた。

幸い家族は無事だったが、交通機関はストップ。5日目にようやく山形経由で仙台入りした。<電気なく水なくガスなき今日を子はお菓子食べ放題と喜ぶ>。再会した息子が発した言葉はそのまま歌になった。

だが、東京電力福島第1原発事故による放射能汚染が重くのしかかった。いとこの勧めもあり、着の身着のまま、息子を連れて2人で仙台を離れる決心をした。<子を連れて西へ西へと逃げてゆく愚かな母と言うならば言え>。その苦しい胸中を、そんな三十一文字で表した。

「子どもを被ばくさせてはいけない、安全な所へ逃げようと。那覇便が空いていたので、春休みいっぱいぐ らいは様子を見ようかと思ったんです。2月に始めたばかりだったツイッターに『西を目指す』と書いたら、大部分は励ましのツイートが寄せられたのですが、 『行ける人はいいね』『もう帰ってこなくていい』とかの批判もあって心に刺さりました」。それでも、息子を守れるのは自分しかいないと思い定めた。

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<まだ恋も知らぬ我が子と思うとき「直ちには」とは意味なき言葉>

月刊誌「歌壇」の昨年9月号に寄せた歌。原発事故によるパニックを避けるために政府高官がひねり出したごまかしの言葉に、世事を直接的にうたうことを避けてきたはずの歌人は鋭く反応した。

「国って自分たちに何をしてくれるのとか、今までそういう見方で何かを考えたことはなかったんです。今 だってスローガン的には書きたくはない。けれども『直ちに』と言われた時に、後からだって影響が出たら困ります、だって子どもはまだ恋もしたことがないん ですよという、母親としての感情ならうたえるかなという気がしたんです」。そうした心境の変化は、子どもへの放射能被害を懸念する全国の母親たちの気持ち をまさに代弁していないか。

全文は 特集ワイド:日本よ!悲しみを越えて 歌人・俵万智さん

 

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