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A nuclear power plant in Byron, Illinois. Taken by photographer Joseph Pobereskin (http://pobereskin.com). カレンダー
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Tag Archives: 開沼博
震災と原発事故教訓に 双葉の「伝承館」 教員研修スタート via 福島民報
双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館は二十八日、震災と東京電力福島第一原発事故の記憶と教訓を教育の観点から次世代につなげる学校教員対象の研修事業を始めた。 (略) 研修事業は立命館大准教授で伝承館上級研究員の開沼博氏(いわき市出身)が発案した。年数回開催し、同館の研究員が講師を務める。館内の見学や語り部講話、双葉郡の被災地視察を通し、幅広く震災と原発事故の知識を伝える。防災や復興、放射線などに関する授業を実施した経験のある教員との交流の場も設ける。 第一回研修には県内外の小学、中学、高校の教員ら十二人が参加した。開会式が館内で行われ、開沼氏が「風評や風化を防ぐためには教育の視点が重要。伝承館を拠点に教育プログラムを構築してほしい」とあいさつした。 (略) 最終日の二十九日は、富岡町の東電廃炉資料館、Jヴィレッジ(楢葉・広野町)などを訪れる。開沼氏の「震災・原子力災害の現状と今後」と題した講義を聴く。 全文は震災と原発事故教訓に 双葉の「伝承館」 教員研修スタート 当サイト既出関連記事: 国や東電の批判NG? 伝承館語り部に要求、原稿添削もvia 朝日新聞 「撮影禁止」の福島県・原子力災害伝承館 双葉町の展示要望には応じず via東京新聞
「処理水処分」在り方問う 楢葉で福島第1廃炉国際フォーラム via 福島民友
東京電力福島第1原発の廃炉について学ぶ「第3回福島第1廃炉国際フォーラム」が5日、楢葉町で2日間の日程で開幕し、初日は廃炉の疑問に専門家が答える意見交換を行った。地元の団体の代表や高校生らが登壇し、第1原発の地上タンクで保管が続く放射性トリチウムを含む処理水の処分方法を巡り、合意形成の在り方を問う声があった。 意見交換で遠藤瞭さん(ふたば未来学園高3年)は処理水の処分について「科学的知見だけでは(処分後の)社会への影響は分からない」と指摘。経済産業省が30日に富岡町、31日に郡山市と東京都で開く公聴会については「話し合ったとしても絶対安全というわけではなく、何かしらの問題は出てくると思う」と専門家に意見を求めた。 同省の松永明廃炉・汚染水特別対策監は「科学的知見だけではなく、風評被害なども含めて国の小委員会で検討中」とし、公聴会や関係者との議論を踏まえて検討する考えを示した。ただ遠藤さんが「公聴会は限られた場所や時間、人数になる。十分なのかなと思う」と問うと、原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)の山名元(はじむ)理事長は「明確な答えは出せないが、リスクやメリット、デメリットなどを住民が共有し、判断するやり方が一番の理想」とし、科学的な情報を共有することも重要とした。 意見交換は立命館大の開沼博准教授が進行役を務めた。廃炉への関心を高める情報発信や廃炉後の作業員の雇用、廃炉教育の在り方などについても議論した。 […] 全文
福島差別と分断、乗り越えを提言 原発事故シンポ /東京 via 毎日新聞
[…] 「しあわせになるための『福島差別』論」(かもがわ出版)の出版記念企画。執筆者のうち、清水修二・福島大名誉教授▽一ノ瀬正樹・東京大大学院教授▽元テレビユー福島報道局長で福島県飯舘村職員の大森真さん▽翻訳家の池田香代子さん▽絵本作家の松本春野さん▽野口邦和・日本大准教授▽児玉一八・核・エネルギー問題情報センター理事▽開沼博・立命館大准教授--の8人が話した。 清水さんは「放射線被ばくの過大視や誤解から生じる福島差別、被ばく影響のとらえ方の違いに起因する分断を乗り越えるため、各人の判断と選択を尊重すること、科学的な議論の土俵を共有することが必要だ」と提言した。【斗ケ沢秀俊】 全文
開沼博の正体(前編)──原発事故被害を「漂白」する伝道師(明石昇二郎)via 週刊金曜日
良識ありげにデタラメを言う人が、なぜこれほど“評価”されるのだろうか。福島をめぐる見解、とくに安全性にかんする言説には両極端があり、被災者を悩ませている。だからこそ、私たちは「事実」を重視すべきだ。デマの垂れ流しを放置してはならない。 […] 「『即座に原発をなくせ』ということが、ただでさえ生活が苦しい原発立地地域の人間にとっては仕事を奪われることになる。それがどれだけウザいか。『奇形児を作らせるな』と障がいがある方もデモに参加している中で叫ぶ。新たな抑圧が生まれかねない状況がある以上、手放しでは見過ごせません」 社会学者・開沼博氏が「日刊サイゾー」に寄せたコメントである(http://news.livedoor.com/article/detail/5769413/)。彼が批判したのは、今から6年前の2011年4月10日、東京・杉並区高円寺でおよそ1万5000人が参加して行なわれた「原発やめろデモ!!!!!」のことだ。 […] しかし、開沼氏は「高円寺デモ」当日、取材で新潟県を訪れていたのだという。当の『「フクシマ」論』に、そう書かれていた。 恐れ入ったことに開沼氏は、高円寺に来ないで「高円寺デモ」を批判していたのである。その上で開沼氏は、見ていないデモを「ウザい」「見過ごせません」などと罵倒していた。 ルポというより「エッセイ」 1984年生まれの開沼氏の出生地は、福島県いわき市。自身のオフィシャルサイトによれば、現在の肩書は立命館大学准教授である。 氏の著書『漂白される社会』(ダイヤモンド社)は、著者によれば「ルポルタージュ」(ルポ。現地報告)でもあるのだという。 『Voice』13年5月号で開沼氏本人が語っていたのだが、彼には実話誌『実話ナックルズ』でライターをしていた経歴がある。その頃に取材したネタを「社会学風」(本人談)に書き換え、ウェブサイト「ダイヤモンド・オンライン」で連載したルポを一冊にまとめたものだ。 同書のタイトルにもなっている「漂白」とは、開沼氏の定義によれば「これまで社会にあった『色』(偏りや猥雑さ)が失われていく」ことなのだという。そしてそれらは、治安上「あってはならぬもの」と警察が考えているものらしい。その具体例として同書で挙げられているのが、「売春」「生活保護の不正受給」「女衒」「賭博」「脱法ドラッグ」「過激派」「偽装結婚」などである。 東海地方の観光地を訪ねた「売春島ルポ」では、客引きのおばあさんを取材してはいるものの、売春行為の当事者である売春婦や客は登場しない。 そして、その観光地のそばには、かつて原発の立地計画があったと、唐突に語られる。そこでの売春の歴史と原発計画の間には何ら関連性がないのだが、参考文献を読み漁って書いた「解説」が、現地ルポより長く感じられるほど延々と続く。 開沼氏はこうした文章を「ルポルタージュ」と呼んでいるが、その実態は「エッセイ」(随筆)に近い。言うまでもなくエッセイは、本から得た知識や自身の体験や見聞をもとに、それに対する感想や印象、思想を書き記した文章のことである。 「過激派ルポ」での創作疑惑 開沼「ルポ」の最大の弱点は、作文を書く上での大原則「5W1H」(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)がハッキリ書かれていないことだ。そのため、追試や検証ができない。これは、ルポのリアリティや説得力にも関わってくることだ。 「調査対象者を傷つけない」ことを理由に、意図的に省略しているのだと開沼氏は説明する。だが、その理由では説明がつかない“5W1Hの省略”も彼の「ルポ」には存在する。 […] 開沼氏は「脱原発」を唱える人々が嫌いである。そして、福島県民の健康問題を指摘する声にも、開沼氏は“鉄槌”を加える。 「甲状腺がんの問題もよく話題になりますが、『福島で甲状腺がんが多発している』と論文にしている専門家は、岡山大学の津田敏秀さん以外に目立つ人はいない。その論文も出た瞬間、専門家コミュニティーからフルボッコで瞬殺されています」 16年4月21日付「WEDGE REPORT」における開沼氏の発言だ(http://wedge.ismedia.jp/articles/-/6618?page=1)。科学者のコメントとは思えないほど意味不明だが、悪意だけはしっかりと伝わってくる。 原因はさておき、福島第一原発事故以降、福島県内で甲状腺がんが多発しているのは事実である。それは小児ばかりか、大人でも言えることだ。国の「全国がん登録」データを検証したところ、同原発事故以降、福島県で大人の甲状腺がんが増加していることが確認されたため、本誌16年7月22日号でその事実を明石が報告した。その記事では、疫学と因果推論などが専門の津田敏秀・岡山大学大学院教授のコメントも紹介している。 論文には論文で対抗するのが科学界のルールだ。津田論文が「フルボッコで瞬殺」されたかどうかは、当の論文が掲載された医学雑誌上での議論の結果、判断される。だが、津田論文が「瞬殺」された事実はなく、同論文は取り下げられてもいない。開沼氏が言うような「専門家コミュニティー」が審判役を務めるわけでもない。そしてこのことを、科学者である開沼氏が知らないはずがない。 全文は 開沼博の正体(前編)──原発事故被害を「漂白」する伝道師(明石昇二郎)
福島第一原発の今 “限界の場所”で私が見たもの viaテレビ東京
東日本大震災からまもなく6年。 きのう東京電力は福島第一原発の原子炉建屋内を調べるためロボットを投入しましたが作業を断念する結果となりました。 私は今週、原子炉建屋から80メートルの場所で原発の今を見てきました。 困難を極める廃炉作業の行方は。 動画を観る。
『福島第一原発廃炉図鑑』 開沼博編via読売新聞
評・岡ノ谷一夫(生物心理学者・東京大教授) 事実を直視する勇気 「生き残り罪悪感」という言葉がある。東日本大震災と福島第一原発(1F、いちえふ)の事故で直接の被害に遭わなかった日本人は(私もその一人だ)多少なりともこの罪悪感をもっている。この感覚は、災害そのものへの興味を抑制しようとする。つまり眼めを逸そらすことだ。震災後二年経たって仙台の友人を見舞った折、「理由が好奇心でも良いから、津波の被災地を見に行くべきだ」と諭された。私はしかし、その勇気を持つことができなかった。 […] 廃炉とは、汚染水対策、燃料の取り出し、解体・片付けが完了することである。25~35年かかるという。以上は技術的な定義である。編者自身は、「コミュニティーの再構築ができるまでは廃炉は完了ではない」という考えを持っており、本書はその立場をよく反映している。放射線とは何か?という基本的な事項から、各建屋の現状、汚染水対策の現状等が丁寧なイラストで描かれる。作業員の1日や心理学的健康、まちづくりも含めた復興への計画も説明される。1Fツアー、旅館、釣りスポットの情報もある。 「生き残り罪悪感」は、生存者が危険地帯に入らないために進化の過程で人間の心に備わった防御システムなのかも知れない。しかし私たちは人間の意志として進化の縛りから自由になるべき時もある。この本はそのための第一歩になる。原発事故で生活基盤を失った方々は、本書の構成を不快と感じるかも知れない。一方、1Fに関わる感情的な部分を排し、事実を伝える役割に徹することで、私のような臆病な人々に1Fを直視する勇気を与えるかも知れない。 Read more.
“福島の魔女狩り”に加担しないためには?「福島第一原発廃炉図鑑」開沼博さんに聞く via Huffington Post
[…] 「百科全書は魔術語りに対抗して生まれた」 ――“図鑑”と聞くと、子供向けの事典が思い浮かびますが、『福島第一原発廃炉図鑑』は400ページにも及んでいますね。 この本をつくるにあたり、まず浮かんだのは「図鑑」というタイトルでした。単に、絵や図表をたくさん盛り込みたいという理由からではなく、18世紀後半につくられた『エンサイクロペディア(百科全書)』の思想が頭にあったからです。 当時の社会は、産業革命や近代的な科学が急速に発達する一方で、旧来の既得権益・慣習や教会など宗教的権力による支配が強い状況にありました。それは「魔術」が支配する社会であったと言っても良い。どういうことかというと、天災が起きたり伝染病が流行ったりすると、「神の怒りによるたたりだ」とか「呪術師がこの現象を引き起こした」などの“魔術的ワード”が語られ、「ひたすら祈る」「生け贄を捧げる」「魔女狩りをする」などが対処方法として行われていました。 これに対して、『百科全書』をつくった人たちは、学術の力をもって魔術の力を「除霊」しようとした。社会のいたるところに遍在するようになっていた膨大で高度な科学的知見は、タコツボ的にバラバラに専門家の中でのみ流通していたので、普通の人には届かなかった。しかし、これを1カ所に集めて編集し、可能な限り誰でも手に取り理解できるようにした。そうすることで教会や慣習に都合のいい旧来型のやり方でことが進む実状を変えようとした。これが『百科全書』のコンセプトであり、本格的な近代化やいまは普通になっている「科学を前提とした社会」の構築にとって欠かせぬ事件だったわけです。 「科学を前提とした社会」とは、先の例に沿って分かりやすく言えば、「このウイルスが、こういう条件のもとで感染した」とか、「山火事が広がったのは、この部分の木を切っていなかったからだ」と科学的な解決をする社会のあり方です。これをもって、“魔術的な語り”をする人に、「今わかってきている科学的合理性に基づけばこう言える(あんたの言っていることはデタラメ)」と反論しようとし、また、対抗できる人を増やそうとしたんですね。 しかし、現代においても「魔術」は完全になくなったわけではない。オウム事件もスピリチュアルブームもその現れです。そして、福島第一原発の廃炉をめぐっても、「魔術的な語り」が溢れています。「がれきが散乱するぐちゃぐちゃの原子炉建屋」「稼働していない多核種除去設備(ALPS)」などの固定されたイメージのまま、科学的な根拠を抜きに自分の意見(オピニオン)だけを述べてみたり。さらには、「巨大な力が裏で働いて、情報を隠蔽している」「◯年後には人がバタバタ死に始める」といった、要は「あそこには魔女がいる」「呪いがある」と言っているのと同構造の魔術語りが溢れます。 魔術語りの背景には不安と無知がある。しかし、そんなデタラメが、被災地はもちろん広い範囲で、風評被害をはじめ、様々なかたちで弊害になっています。福島における「脱魔術化」を進めること。そして、廃炉というテーマで点在する情報を体系化し、知識の枠組みを示すこと。それが、この本をつくった理由です。 「いまでも何かあったら、福島第一原発は再び危機的な状況になりえると思うか?」に、どう答える? ――廃炉に関する状況は、東京電力や政府のほか、新聞やテレビでも頻繁に報じられています。しかし、あまりにも情報が多くて、ついていけない。だから、「もういいや」と諦めてしまう人も多いのではないでしょうか。 そうですね。3・11まわりを追っていると、「情報が隠蔽されている」「情報公開が進んでいない」という語りをよく聞きますが、起こっている事態の背景にあるのが全く逆のことであるのに気づいていない人も多いでしょう。 事態を混乱させているのは「情報不足」ではなく、明らかに「情報過多」です。福島第一原発やその周辺地域に関する情報を少しでも調べれば、ネットで公開されているだけでも膨大な書類、データが存在していることに気づきます。放射線の状況、働いている人の労働環境、周辺地域がいかに急速に変化し続けているのか。 ただ、私たちの多くはそんなことは知らない。調べたこともない。それなのに「情報が足りない」と言う。これは私たち「受け手/オーディエンス」が情報の洪水の中で溺れていることを示しています。溺れて必死にもがきながら「水をくれ」と叫んでいる。一方、情報の「送り手」たる東電や省庁側は「現状、知りうる情報は細かく全部ネットで公開しています」と言う。これでもかというぐらいに水を放出しているわけです。 一言で言えば、情報がいくらあるからと言って、それが知識として伝わるかは別だということです。見る側に伝わっていないなら、伝えたことにならないですよね。それらの情報を「送り手」と「受け手」の間にたって、第三者として整理することも、この本でやりたかったことです。 例えば、「いまでも何かあったら、福島第一原発は再び危機的な状況になりえると思うか?」という質問に、どんな情報をつかって、どう科学的に答えられるかを考えてみましょう。『福島第一原発廃炉図鑑』では、「廃炉を知るための15の数字」を挙げ、それぞれの数字を知ることで何がわかるかを紹介していますが、このなかの、「福島第一原発1〜3号器の原子炉を冷却するために、1時間あたり何㎡ほどの水が入れられているか」という数字がヒントになります。 続きは “福島の魔女狩り”に加担しないためには?「福島第一原発廃炉図鑑」開沼博さんに聞く
「原発と科学的に向き合って」 福島で櫻井よしこ氏講演via 産経ニュース
東京電力福島第1原発事故で、一時ほとんどの住民が避難した福島県双葉郡の未来を考えるシンポジウムが20日、広野町で開かれた。ジャーナリストの櫻井よしこ氏の講演や公開討論会があり、町民ら約300人が熱心に耳を傾けた。 「いまこそ双葉がひとつになるとき!」と題し、原発事故からの復興に向けた取り組みを行っているNPO法人「ハッピーロードネット」が主催した。 同県楢葉町や川内村など避難指示が解除された地域で住民の帰還が進んでいないことについて、櫻井氏は「政府や自治体に依存するのではなく、放射線量などの数値と科学的に向き合い、自ら考えることが必要」と指摘。原発の廃炉研究や医療拠点としての新たなまちづくりを提言し、「客観的な事実を共有することから未来が開ける」と語った。 […] 開沼氏は「さまざまな可能性が生まれ、新しい生活の営みが始まっている。そのことを示していく戦いはこれからだ」と締めくくった。 もっと読む。 ◇福島、国道6号線清掃活動――抗議無視の安全神話作り ◇子供がセシウムを吸い込む”被ばく”イベントが福島で決行された!
根拠なき偏見許されず 開沼 博氏via福島民友
浜通りを縦断する国道6号の美化を目的とした清掃ボランティア活動「みんなでやっぺ!きれいな6国」が10月10日、行われた。地元のNPOや青年会議所が中心になった実行委員会が主催し、中高生約200人を含む1440人ほどが参加。多くのメディアが「復興への一歩」と明るい話題として報じた。 しかし、主催者には人知れぬ苦労があった。反被ばくを掲げる市民運動団体が、イベント開催を阻止しようと妨害運動を繰り広げたのだ。 「避難指示がかかる地域も残る国道6号線で子どもとゴミ拾いをして被ばくを促すのか。すぐに中止しろ」というのがその主張。主催者や協力を予定する組織には「抗議」の文書や電話、メールが繰り返し送られ、「美談にすり替えた虐待」「国賊」「殺人行為」といった言葉が投げつけられた。 当日、県外から押し寄せた雑誌記者やジャーナリストの言動にも強引さが目立った。中には、子どもたちを含む参加者の横で、線量計をかざしながら勝手に写真を撮っては嬉々としてインターネットにそれを公開した者もいた。 無理解と「福島=絶対危険という価値観以外認めない」というイデオロギーが背景に存在する。 そもそも、この清掃活動は2007(平成19)年から毎年、行われていた。再開のきっかけも地元の子どもの強い思いがあってのこと。線量の高い地点が残る避難区域の清掃は大人のみが行った。もっとも、いわき市から新地町までの清掃範囲の中で避難区域は限定的だ。 先鋭化する市民運動がなす誹謗中傷が直接的に、あるいはインターネットを介して被災者に向けられるのは、今回にとどまらない。農家など食べ物に関わる生業につく住民に「毒を作るな、売るな」と、避難から帰還した母親や県内の教育関係者に「子どもを傷つけるのか」「洗脳されている」といった言葉が向かう。 このような事態が身近で常態化していることを知りながらも、「彼らの脱原発の主張には共感するから」「放射線への不安を口にするのは仕方ない」などとそれを黙認する意見が県内にも残るのは残念なことだ。原発・放射線への政治的立場とこの誹謗中傷は分けて考えなければならない。 しばしば、あらゆる差別的言辞は、「誹謗中傷はダメだが、それを受ける側にも怪しい部分があるのでは」といった「どっちもどっち」論や「極端な言動の人は全体から見ればごく一部に過ぎない」といった「一部の異常者」論とともに正当化・看過される。 しかし、いかなる理屈があろうと、抵抗するすべを持たない罪なき地域の一住民が根拠なく「殺人者」扱いされ吊し上げを食らう理由はない。少数者の行いであろうと、ヘイトスピーチ、ヘイトクライムが公に存在し、そこに生きる人の尊厳を脅かす状況は許されない。 それを黙認する者が存在し続ける限り、私たちの誰もがその被害にあう可能性の中に置かれ続ける。今回のようにただ普通に生活をしようと望む子どもたちが嫌な思いをする。その子どもたちが大人になった時に根拠なき偏見に晒される。農家や漁師、観光に関わる方々が懸命に働くだけでいわれ無き侮辱をされ、損害を受け続ける。弱い立場に置かれ冷静な判断が難しい人が、不安な気持ちにつけこまれて非科学的なデマを信じこまされ悪意をもった者に利用される。 これは、深刻な人権侵害・差別問題だ。加害者には毅然とした対応をとり、被害を増やさぬよう努力することが重要だ。3・11から5年目に向け、あらためてこの課題を直視すべきだ。 原文はこちらのブログ ◇福島、国道6号線清掃活動ー講義無視の安全神話作り ◇子供がセシウムを吸い込む”被曝”イベントが福島で結構された! ◇放射能に汚された”国6” 清掃活動が波紋 子供を使った除染なのか?
5分でわかる福島県知事選と日本政治のいま ――社会学者・開沼 博 via Diamond.online
[…] 原発・放射線の問題が福島で争点にならない理由 「組織に頼るような選挙ではだめだ。自分で政策を見て候補者を選ぶべきだ」という視点もあるだろう。ただ、この「一強多弱」の背景には、この選挙特有の「わかりづらさ」があることも認識すべきだ。 住民から見える「わかりづらさ」には、2点ある。 まずは、「政策のわかりづらさ」。地元報道機関は「候補者が出揃ったが争点が見えづらい」と書く。それに対して「争点はあるではないか。しっかり仕事しろ」という反発の声も聞く。これはいずれも正しいが、実際問題、多くの住民が「争点が見えづらい」と感じている現状があるのは確かだろう。 どの候補も、取り組むべき政策として、大きく分ければ原発事故収束や除染・健康管理など「3.11由来の問題への対応」と、雇用や教育、医療・福祉など「そもそも地域にあった問題への対応」を掲げている。 […] 「福島なら原発・放射線の問題が争点になるのではないか」という問いは、いくつかの選挙を繰り返す中で、常に問われてきたし、今後も問われ続けるであろう。しかし、この答えは、もはや明確になってきている。少なくとも過去の事例においては、「争点にはならない。もちろん多くの県民は原発・放射線問題にうんざりしているが、では『脱原発・被曝回避』を選挙で強く主張したところで勝てるわけではない」ということだ。 例えば、最もわかりやすい例を挙げるならば、福島県選出の国会議員の政党別の割合だ。 震災時、5つある衆議院選の選挙区のすべてを民主党が持っていたが、2012年末の選挙では、脱原発を大きく掲げる民主党は、玄葉光一郎衆議を除くすべての議員が自民党議員に敗れた。脱原発シングルイシュー政党として登場した「未来の党」も当時の代表の嘉田氏が飯舘村で第一声をあげたが、ほとんど得票に結びつかなかった。 […] 背景を簡単に説明するならば、「脱原発」という「大きな政治的テーゼ」よりも、多くの住民は「目の前の生活の問題」にこそ関心があるということだ。復興関連予算は大量に流入してきているが、必ずしも地域経済がよくなったわけではなく、むしろ環境の激変の中で雇用などに様々な問題が生じている。医療・福祉の問題も大きいが、それは放射線への対策がどうこうというレベルの話よりも、かねてより存在した高齢化や医療・介護人材の不足によって「十分なケアを受けられない」「病院が以前より混雑してきて診療にも不満が残る」といった実感として多くの住民に認知されている。 そのなかで、確実に「目の前の生活の問題」を解決してくれそうな候補が勝ってきた、というのが少なくともこれまでの選挙の結果から言えることだ。 […] 福島県知事選に見る日本の政治 こう見ていくと、この「わかりづらい政局」は、逆説的に「わかりやすく」現在の日本全体の政局を示しているようにも見える。 理念はある。それを支持する声も、インターネット上などで可視化されやすい。しかし、まとまりきれない民主党はじめとする野党。だから、与党にやられっぱなしで、最後は与党に主導権を持っていかれる。 一方の与党は、「政権の安定運営に使える場合は使うし、そうでなければ当り障りのない対応」を続ける。勢力はあるが、チャレンジングなことをするわけではない。負けられない状態が続く与党。 […] いまも飛び交い続ける情緒的な言葉や、中央政界の思惑に過剰に振り回されることなく、何がこの地域の課題なのか、その課題を解決するためには何をすればいいのか。 たしかに、3.11から現在まで、政策にせよ、予算にせよ、県知事は常に、平時にはありえない巨大な決断を迫られ続けてきただろう。今回は候補者全員が「新人」だが、いずれの候補が勝とうとも、次回選挙では、安易な「首をすげ替えればいまより良くなるだろう」願望がつけいる隙のないような、具体的な取り組みを基にした県政を期待したい。 やや後ろ向きな結論に見えるかもしれないが、これは、この選挙が気づかせてくれた一つの希望だ。選挙が終わった時から、政治は始まる。 もっと読む。 ◇開沼博の分析に欠けるもの