北陸電力志賀原発2号機(石川県志賀町)の再稼働を見据えた「安全対策工事」が進む中、北電は同原発で勤務する社員の対応能力強化にも力を注いでいる。昨年度はGE日立ニュークリア・エナジー(本社・米ノースカロライナ州)に職員を派遣し、今年も6月から原子力保修部門の1人を送ることを決めた。稼働する原発での経験不足を補う狙いがあり、これから中核的な役割を担っていく若手社員の育成につなげる。 (経済部次長・楠浩介)
志賀原発は、東日本大震災が発生したのと同じ2011年3月11日から全面停止が続いている。東京電力福島第1原発事故を受け安全性が厳しく問われる中、北電は同事故の直後から2号機で安全対策を実施。重大事故時に本部機能を担う緊急時対策所の設置や、冷却機能を強化する大型貯水槽の建設などで、工事費用は1500億~2千億円を見込んでいる。
現在は、電源を確保するための非常用地下式軽油タンクの設置などを進めており、ハード面の対策は本年度中に完了する見通しだ。
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ただ、志賀原発に勤務する社員約400人のうち、11年春以降に入社した職員は稼働時に関する経験がない。そのため、「シミュレーターなどで運転訓練はできるものの、実際に稼働している原発での点検作業に携わることで、技術力を高められる」とし、昨年初めてGE日立ニュークリア・エナジーの原子力技術研修に30代前半の男性社員を9カ月間派遣した。
同社は、ゼネラル・エレクトリック(GE)と日立製作所が設立した現地法人。北電社員は、複数の原発を回って原子炉の開放・閉鎖作業や制御棒駆動機構の点検に当たるほか、ヒューマンエラー防止や異物混入防災対策の学習、燃料移動の操作訓練などを行う。
今年は6月18日から6カ月間、20代後半の男性社員を派遣する。北電は「原発の安全性に対する要求が高まっており、職員の派遣を安全性や信頼性の維持・向上につなげていきたい」としている。
なぜ男性社員のみを派遣するのだろう。