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これまで「過剰診断」の波にかき消されてきた当事者たちの声には、「原発事故による健康被害など無い」と結論ありきにするな、との強い叫びが詰まっている。アンケートに綴られた声の一部を紹介し、原発事故による被曝リスクとどう向き合うか。考えたい。
「。。。」調査は、2011年当時18歳以下だった福島県民を対象に20歳までは2年に1回、その後は5年に1回実施されているが、回答した49人のうち「縮小した方がいい」と答えた人はゼロ。「このままでよい」が28人と最も多く、「拡充した方がいい」も17人に上った。
葛藤もある。「子どもは自覚症状などなく、健康そのものでした。原発事故がなければ発見されることなく過ごせた可能性もあったと思います」と綴った母親もいる。別の母親は「過剰診断なのかもしれない。しかし、甲状腺ガンが多く見つかっている事は現実だと思う」と複雑な想いを言葉にした。「少しでも(被曝の)不安があったら福島には居られません。自分なりに調べて、甲状腺ガンは『原発事故の影響では無い』と確信している」と答えた母親も。一方で、多くの親がこう書いた。「親にしてみれば、初期発見は大切だと思う」。
患者本人の言葉はさらに切実だ。
「過剰診断では無いと思います。たとえ腫瘍が小さくても転移している人はいるし、私のように気管の近くに腫瘍がある人もいます」
「ガンがあるなら摘出したほうが気が楽」
「死に結びつかないとしても、自分がガンだと分からないより分かっていたほうがいいと思う」原発事故後、専門家と呼ばれる人々が口にした言葉の中に「甲状腺ガンは他のガンと違って予後が良い」というものがある。これには、患者本人からこんな〝反論〟があった。
「病気というのは、本人や家族など身近な人しか痛みが分からないと、この病気になって改めて強く感じた。死に結びつかないからいいでしょう?そんな言葉を自分の大切な人に言えないと思う。他人だから過剰診断と言える結果論であり、遺憾だ」【「全都道府県で同規模の検査を」】
別の母親は、不信感を言葉にした。
「放射線の影響と考えたくないから(過剰診断などと)結び付けている。他県でも調べてデータ化して欲しい。同じ年代の子どもたちの甲状腺も検査してガンが見つかるか、調べて発表して欲しい」
県民健康調査を所管する環境省の環境保健部は、「県民健康調査に類似した健康調査を近隣県でも行うべきだという意見は以前からいただいている」としながらも、「原発事故が起こった年に近隣県で有識者会議が開かれて、福島県と同様の甲状腺検査が必要かどうか議論された経緯があるが、必要とされた有識者会議は無かった。環境省も2013年11月から2014年12月にかけて専門家会議を14回にわたって開いたが、福島県以外の県で一律に甲状腺検査を実施する事には慎重であるべきという風な判断が出されている」として宮城県や栃木県、茨城県など福島県以外での甲状腺検査には否定的な見方を貫いている(2017年6月16日号参照)。[…]