賢人会議 あす開幕 核の溝、広島で解消探る 日本主催 via 毎日新聞

核兵器保有国と非保有国の有識者が核軍縮に向けた提言をまとめる日本政府主催の「賢人会議」の初会合が被爆地・広島で27、28両日に開かれる。7月に国連で核兵器禁止条約が採択され、保有国と非保有国の溝が深まるなか、両者の協力体制の再構築を図る狙いがあるが、米国の核の傘に頼る日本主導の会議が、いかなる核兵器の存在も認めない禁止条約をどう位置づけるのか。提言に向けた議論次第では、溝を一層深める恐れもはらんでいる。29、30両日には国連軍縮会議も行われる。【寺岡俊、梅田啓祐、浅野翔太郎】

禁止条約対応が鍵

 日本政府は唯一の戦争被爆国として、核保有国と非保有国との「橋渡し役」を自任してきた。賢人会議は、こうした立場から、民間人を入れ、中長期的に核廃絶の実現に向け議論する場として、今年5月に設立を表明した。だが、7月に禁止条約が採択され、10月には条約採択に貢献した国際NGOネットワーク「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)のノーベル平和賞受賞が決定。「立場の違いが顕在化している中での開催」(外務省幹部)は想定外だった。

 禁止条約採択の背景には、2015年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の決裂など、核保有国、特に米露間での核軍縮の停滞がある。核廃絶が遠のく現状に不満を募らせた非保有国のなかで採択への機運が高まり、条約はこれまでに53カ国・地域が署名。うちタイ、バチカン、ガイアナの3カ国が国内手続きを経て批准した。条約は批准が50カ国以上に達してから90日後に発効する。

 一方、日本政府は「条約に参加すれば米国による核兵器の抑止力の正当性を損なう。北朝鮮に誤ったメッセージを送ることになりかねない」(河野太郎外相)として禁止条約には参加しない方針だ。

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核軍縮に詳しい明治大法学部の山田寿則兼任講師(国際法)は「NPT体制の大きな枠組みのなかで、禁止条約をどう位置づけていくのか、きちんと議論することが必要だ」と注文した。

「保有国と対話必要」

 「核兵器禁止条約に反対する日本政府主催の会議から生まれる提言には限界がある」。こう認めるのは、広島から賢人会議委員に選ばれた広島平和文化センター理事長の小溝泰義氏(69)だ。ICANと連携する平和首長会議事務総長も務める。「今必要なのは核保有国を巻き込んだ対話。その場が設けられたのは意義がある」。核保有国の委員に対しては、禁止条約がNPT体制など既存の枠組みを否定するものではないことを強調したいとしている。

 長崎からの委員で、被爆者の朝長万左男氏(74)=日赤長崎原爆病院名誉院長=は「米国の核抑止力に依存し、禁止条約にも反対する日本政府がこうした会議を設置したこと自体が条約採択の成果だ」と捉える。朝長氏は6月、条約交渉会議で演説し、9月の署名式にも出席。「安全保障上の事情は理解できるが、それだけでは国際社会の信頼は得られない。まずは条約に肯定的な評価を示すことが日本政府には求められる」と話す。

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