東京電力福島第1原子力発電所事故で昨年まで事故収束の前線拠点として使われていたサッカー施設「Jヴィレッジ」(福島県楢葉町、広野町)が復興へ動き出した。日本代表の合宿地としても知られる施設は来年夏の一部再開を目指し復旧工事の真っ最中だ。住民の帰還が進まない中、かつての「サッカーの聖地」を核にした地域再生に期待がかかる。
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1997年開業のJヴィレッジは日本代表や各世代の代表チームが合宿。多くのサッカー大会も開かれ、年50万人の利用者でにぎわったが、11年3月11日に一変した。福島第1原発から20キロ離れた施設はもともと東電が整備して県に譲渡した経緯もあり、原発事故対応の拠点として車や資材で埋め尽くされた。
広野、楢葉町の避難指示は15年9月までに全て解除。Jヴィレッジ内にあった東電の福島本社も富岡町に移り、昨年12月に復旧工事が始まった。
ただ、震災前のように子供たちが集まるのか、小野さんは「不安はある」と語る。楢葉町で帰還した住民は1割程度。放射線量は基準値を大きく下回っているが「再開して大丈夫なのか」との問い合わせも多いからだ。
日本サッカー協会は20年の東京五輪で日本代表の合宿地にJヴィレッジを使うことを決定。小野さんは「代表チームが戻れば理解を得やすくなる。施設に人を呼び込み、地域に復興の好循環を促したい」と前を向く。
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ここの基準は年間一ミリシーベルトなのか、20ミリシーベルトなのか…。