ベルギーで3月に起きた連続テロ事件の犠牲になった映画監督、ジル・ローランさん(当時46)のドキュメンタリー「残されし大地」が16日、京都国際映画祭で上映される。東京電力福島第一原発の事故後の人々と街に思いを寄せ、撮った。妻の鵜戸(うど)玲子さん(46)は「夫が命をかけて作った映画を見てほしい」と語る。
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母国の資金援助を得て、昨年の夏から秋にかけて撮影した。全町避難が続く富岡町で飼い主のいなくなった動物を世話する男性や、南相馬市の避難指示解除準備区域(当時)に一時帰宅する夫婦を追った。鵜戸さんは「夫は、事故後も美しい自然が残る風景に自らの故郷を重ね、慈しんでいた」と語る。取材を受けた南相馬市の佐藤とし子さん(64)は「真面目で人なつっこくて、福島のありのままを撮ろうとしていた」と語る。
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遺志を継いだ友人が映画を完成させ、6月にブリュッセルで上映会が開かれた。復興に向かう人々の暮らしに鳥や虫の鳴き声、風に木々がそよぐ音が重ねられ、命の息づかいを感じさせる作品になっていた。「夫の感性が詰まっていて、まるで一緒に現地にいる気持ちになれた」。6歳と4歳の娘も静かに見入っていたという。
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