原発は本当に安全になったのか――規制行政への疑問viaNewsweek

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新規制基準の適用のために、原発は動いていない。政府は原発の規制を「世界一厳格な基準」(安倍晋三首相)と自賛する。しかし内実は「本当に安全になったのか」と疑問を抱くものだ。

 筆者は7月に川内原発を視察した。不思議な光景があった。プラント設備にワイヤーが取り付けられ、巨大な金属製の檻(おり)が置かれていた。調べると、地震や竜巻で主要設備が壊れないようにするための対策だ。国内で観測された最大規模の風速毎秒100メートルの竜巻や、この地域で過去に例のない620ガルの巨大地震に耐えるためという。

 しかし超巨大竜巻、超巨大地震など、起こる可能性は極めて少ない。この設備は無駄になる可能性が高い。そして起こる可能性のある、より小さな地震や津波、火事などの災害を想定した、対応に適切な規模の設備があるはずだ。

 こうした過剰とも言える規制対応は川内原発だけではない。日本の今の原発を、原子炉工学、機械工学の専門家はそろって「ゴテゴテプラント」と呼んでいた。さまざまな設備がつけられ、複雑になっているためだ。
■10万枚の申請書類で疲弊
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■膨大な規制は責任と権限があいまい
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 こうした規制行政には問題がある。事業者は書類作成、さらに過剰設備の設置、建設にエネルギーを割きすぎて、何が危険か各原発でリスクを洗い出し、事業者が改善を続ける形になっていないのだ。

 ある安全管理の研究者は「事故リスクは新規制で大きく減っていない。逆に次の事故の原因になるかもしれない」と警告した。原子力事業者の行うべきことが増えすぎて、管理が行き届かなくなるためだ。そして「ゴテゴテプラント」で、緊急時の対応が混乱する可能性さえある。
■重要度、確率を使った規制の必要
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世界の原子力研究者はつながっており、実情を知った世界の研究者の間では、日本の規制当局の能力に懸念が広がっている」と嘆いた。

 現在の日本の原子力規制行政にはこうした問題がある。ところがメディアも社会も、原子力の賛成、反対の意見表明ばかりに熱心で、議論すべきこの論点を語り合っていない。

 福島原発事故を経験した多くの国民の考えは「原発は使いたくない。けれどもいきなりゼロにはできないので、安全に使ってほしい」というものだろう。今の原子力規制行政は、そうした願いに対応した形にならず、他国に比べても上手とはいえない
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