原発を持たない沖縄電力を除く全国の電力9社は25日、一斉に株主総会を開いた。9電力全ての株主からは、原発からの撤退や再稼働条件の厳格化などを求め る提案が出された。ただ、各社の経営陣は収支改善に向けて早期に再稼働させる考えで、「脱原発」に関する提案はいずれも否決された。
東京電力は東京都千代田区の東京国際フォーラムで開催。株主提案は、既存の全原発の停止・廃炉など過去最多の15議案に上った。出席した株主は2066人と、昨年より84人少なかった。
広瀬直己社長は柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働について「非常に(収益面の)効果が大きい」と述べ、経営再建の柱とする姿勢を改めて強調。また、一段の経営合理化などで「福島第1原発事故の責任を全うする」と説明した。
九州電力の総会では、事故に備えた補償金の積み立てが終わらない限り、原発を再稼働しないよう求める提案などが出たが、否決された。九電は全国で最も早い 8月中旬にも川内原発(鹿児島県)を再稼働させる計画だ。瓜生道明社長は「グループを挙げて一日も早い再稼働を目指す」と語った。
関西電力の総会でも、原発再稼働を見送る提案が否決された。
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今月中旬の調査(日本世論調査会)をみると、再稼働に賛成が31%に対し、反対は63%に達している。新聞など各種の調査でも、再稼働に反対し、脱原発を求める世論が弱まる気配はない。
「原発反対の世論を無視している」「なぜ原発推進の話ばかりするのか」。関電の総会では怒りに満ちた株主の発言が相次いだ。各社の会場周辺には反原発の市民団体が詰め掛け、会社関係者らと言い争う場面もあった。
神戸市の久元喜造市長も「再値上げは市民生活を圧迫しており、極めて遺憾」と怒りを表した上で「原子力以外の多様なエネルギー源の活用を含めた最適な電源構成を示せ」と迫った。