米国地球物理学会の機関誌が、断層上に建つ原発のリスク評価について、日本と米国のアプローチを比較している。
TEXT BY JOHN TIMMER
PHOTO BY WIKIMEDIA COMMONS
TRANSLATION BY TOMOKO TAKAHASHI, HIROKO GOHARA/GALILEO(抜粋)
1970年代に敦賀発電所が建設されたとき、これらの断層は活断層ではないと考えられていた。しかしその後の研究によって、主断層(浦底断層)は、過去12万年の間に何度も活動していたことが明らかになった。
日本の最新の断層地図では、浦底断層は「活断層」または「活断層の可能性あり」とされている。この調査結果を受けて、大々的な安全性の見直しが行われている。
リスクを評価するため、敷地内のそれぞれの断層を横断する溝(トレンチ)を掘り、堆積物の変化を見ることによって、過去の地震の発生時期を特定する調査(トレンチ調査)が実施された(例えば、地表の堆積物は、直近の大きな地震の直前までは堆積物が連続していたはずだ)。
トレンチ調査の結果、発電所に最も近い複数の小さな方の断層については、少なくとも過去12万年の間は活動しておらず、浦底断層が活動したときも、 連動して動いてはいないことが判明した。またこの調査によって、主断層である浦底断層の詳しい活動履歴がわかったため、今後の安全性評価に役立てることが 可能になった(敦賀半島では、約5km四方の範囲に、商用原発5基、実験炉2基(高速増殖炉「もんじゅ」と、2003年に運転終了した新型転換炉「ふげん」)合計7基の原発が存在し、それら全てが活断層の直近、あるいはすぐそばに立地している)。
EOS誌の記事は、このような日本の安全性評価を、米国で行われてきた安全性評価と比較している。そして、単純に断層を「活断層」と「不活断層」に分けるだけでは、おそらく対策として十分ではない主張しているようだ。
同記事が比較対象に挙げているのは、カリフォルニア州にあるディアブロ・キャ二オン原子力発電所の設置許可だ(同原発は 断層の上に建てられており、近くに別の断層もある。1973年の完成時にはマグニチュード6.75の地震に耐えられるよう設計されていたが、その直後に近 辺に活断層が発見されたため、1976年には、マグニチュード7.5に耐えられるよう改良された。しかし、この改良も不十分として、反対運動が続いてき た)。
英語原文はWhat to do with a nuclear plant on a fault line via ars technica