もんじゅ「増殖炉」白紙 政府、エネ計画から削除 via 日本経済新聞

政府は発電しながら消費した以上の核燃料を生み出せるとしてきた高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)の実用化に向けた目標を白紙に戻す。これまで掲 げてきた開発計画や期限を新たなエネルギー基本計画に入れない。トラブルが続き、燃料となるプルトニウムを増やす「増殖」のめどが立たないためだ。原子力 発電所から出るゴミを減らす研究施設に衣替えする案が出ている。

核燃料を無限に使い回しできることをうたい文句に、もんじゅは「夢の原子炉」と呼ばれ、原発から出る使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクルの柱とされてきた。核燃料サイクルの政策は見直しを迫られる。

政府は月内にも閣議決定を目指す新たなエネルギー基本計画で、もんじゅの位置付けを見直す。2010年に決めた計画は高速増殖炉について「25年ごろまで の実証炉の実現、50年より前の商業炉の導入」という段取りで普通の原発並みのコストで発電できるようにする目標を掲げていた。新たな計画にはこの文言を 入れない。

(略)

新しい基本計画では核のゴミを減らす研究を、もんじゅで進める方針を明確にする。高速炉を使えば、強い放射線を出す期間を約10万年から300年に短縮でき、体積も7分の1に減らせるとされる。新たな目的を与え、もんじゅの存続と原発政策への理解を得ることを目指す。

使用済み核燃料の最終処分場は国内にない。核のゴミや管理期間を抑えられれば、政府は処分場建設に自治体の理解を得やすくなるとみている。自民党内でも研 究と処分場の選定を一体で推進すべきだとの声が出ていた。核のゴミの減量化と並行して増殖に関する研究も続ける方針だ。

もんじゅは建設後 の約20年間でほとんど動いていない。新しい計画の下で施設を再び動かせるかは不透明だ。核燃料サイクルは使用済み燃料のウランやプルトニウムを加工して 高速増殖炉で燃料として再利用する政策。高速増殖炉を実現できなければ、高いコストをかけてプルトニウムを取り出す意味は薄れるため、核燃料サイクル全体 の見直しが必要となる。

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