(プロメテウスの罠)医師、前線へ:20 「ヨウ素剤信仰だ」 via 朝日新聞

 大会議室で行われたこの講演会には300人の職員が集まった。多くの職員が放射能対策のマスクをつけたまま、話に耳を傾けた。

山下は最後にマイクを握った。

福島県立医大の学長兼理事長、菊地臣一(きくちしんいち)(66)は、長崎大教授の山下俊一(61)が福島入りした経緯をこう記憶している。

(略)

話の要点は安定ヨウ素剤が必要か否か。山下はチェルノブイリ事故も例に出し、不要論を展開した。

(1)安定ヨウ素剤で甲状腺がんが防げるという誤解が広がっているが、「ヨウ素剤信仰」にすぎない。日本人が放射性ヨウ素を取り込む率は15~25%。4、5割を取り込むベラルーシとはわけがちがう。

(2)20キロ圏、30キロ圏以西の被曝(ひばく)量はおそらく1ミリシーベルト以下。チェルノブイリと比べて被曝量が微量なので、日本政府も安定ヨウ素剤服用の指示を出さない。

(3)服用マニュアルは数々の欠点がある。使われないことを祈る。

最後、こう職員を鼓舞した。

「ぜひ逃げ出すことのないように。事故による被曝は地震国で原発立国を進めてきた日本の宿命です」

講演は約1時間。山下は終始、自信に満ちた表情だった。

だが、話がすんなり受け入れられたわけではない。講演会後、長崎大助教の熊谷敦史(40)は「上層部が院内を鎮めるために話をさせた」と怒る医師の姿を見た。

全文は(プロメテウスの罠)医師、前線へ:20 「ヨウ素剤信仰だ」

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