◇「白紙」の未来図なく
今月1日朝、瀬戸内海に面する山口県上関町の町役場は、全町民3555人を対象とした一律2万円の地域振興券を受け取る町民で混雑した。振興券の原資は、同町で原発建設を計画している中国電力からの寄付金だ。
振興券配布は昨年からで、前回は町民の97・4%が受け取った。町民からは「苦しい中、助かります」と率直な声も聞かれた。
上関原発は現在、原子炉設置の許可申請が出ている全国唯一の新設原発だ。電源3法交付金は調査段階から交付されるため、町は「図上の原発」で潤ってきた。交付金は84~10年度に計約45億円。中国電力からの寄付(07年以降約24億円)も流れ込み、11年度一般会計当初予算では、「原発マネー」が14億円で歳入の3分の1を占める。
続きは この国と原発:第1部・翻弄される自治体/2 新設計画30年、交付金頼みの上関町
シリーズ この国と原発:第一部・翻弄さらえる自治体
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