広島・長崎・ビキニ…福島、やりきれない思い募る元マグロ船長/三浦 via カナロコ

66回目の終戦の日を、複雑な心境で迎えようとしている。元遠洋マグロはえ縄漁船船長の今津敏治さん(82)=三浦市三崎町諸磯=は57年前、「ビキニ事 件」を経験した。広島、長崎、ビキニ、そして福島。「日本は過去にどれだけ放射能の洗礼を受けてきたか。教訓はまたも生かされなかった」。現在の原発事故 による放射能への不安の高まりが当時と重なり、やりきれない思いが募る。

長崎で平和祈念式典が行われた今月9日。強い日差しが照りつける中、今津さんは遠い記憶をたどりながら三崎港を眺めていた。まなざしの先には、実習船と数隻の漁船が浮かぶ。「体を張って水揚げした魚を捨てるのは、漁師にとって、たまらんことですよ」

1954年2月。今津さんら乗組員27人を乗せた「第11福生丸」は母港の三崎港を出港した。太平洋・ビキニ環礁周辺で行われた米国の水爆実験で、マグ ロ船「第五福竜丸」が被ばくした情報は、さらに遠洋のフィジー諸島南西側で操業中に届いた。判明から半月以上が経過していた記憶がある。

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