幸せの尺度 福島県南相馬市・五十嵐靖子(無職・67歳)via 毎日新聞

人間にはそれぞれ、幸せに対する尺度があると思う。私は美食家でもないし、スタイルに凝ったりしないし、お金も生活できる範囲の収入があれば良かった。一番大切なのは、健康で明るい夫婦関係で、毎日つまらないほど何事もなく終わる一日が最高だと思っていた。ところが、3月12日の東京電力福島第1原発の水素爆発で、ささやかな生活は暗転した。

熊本の親類宅に2カ月ちょっと避難したが、米、野菜、魚が東北の味とはまるで違った。当たり前のように食べていた地元産の食材との違いが、はっきり分かった。

出荷停止や風評被害もあり、身が引き締まっておいしい宮城県沖の魚は、我々の口には容易に入らなくなった。今まで何てぜいたくな食材を口にしていたのかと、改めて農漁業に携わっている方々に感謝したい。

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