新国立競技場や選手村など、五輪競技場の建設現場で、工事着工から昨年末までの1年9ヶ月の間に、建設工事にあたっていた作業員3人が死亡していることが、厚生労働省と東京都の取材でわかった。また大怪我をして労災認定を受けた労働者は12人。国際的な労働組合であるBWI(国際建設林業労働組合連盟)が今月14日に「東京五輪の闇」と題する報告書を公表し、「危険な労働環境」だと警鐘を鳴らしたばかり。五輪建設現場で何が起きているのか。
「建築資材がクレーンで吊りさげられた、そのクレーンの下で作業が強いられた。強風が吹けば、ブルンブルン揺れるんだ。そうと訴える作業員もいました。」
「新国立競技場では検査をするために、仮設の照明器具を撤去することとなり、真っ暗な中で作業をしいられ、足を6針も縫う怪我をした作業員もいる」
そう話すのは、BWIの依頼で、新国立競技場や選手村の労働者40人に調査を行った全国建設労働組合総連合の奈良統一書記長。中には「1か月に最大28日間、働き続けた人もいた」という。特に過酷なのは、新国立競技場と選手村。しかし、同労組が、新国立競技場の建設に当たっているJSC(日本スポーツ振興センター)の通報窓口に申し立てても、労働者本人ではないとの理由で受理されないという。
厚生労働省は今年3月に開催された「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会大会施設工事安全衛生対策協議会」で、新国立競技場や有明体操競技場、大井ホッケー競技場、カヌー・スラローム会場、オリンピックアクアティクスセンター、有明アリーナ、有明テニスの森、海の森水上競技場、夢の島アーチェリー会場、選手村の10の競技場の労災状況を公表した。
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