世界の流れや宿題の数々に背を向けるかのような議論で、大きな変革の時代を乗り切る針路を見いだせるのだろうか。
経済産業省が、今年夏に改定する「エネルギー基本計画」の骨子案を審議会に示した。国内外で逆風が強まる原発と石炭火力発電を基幹電源と位置づけるなど、4年前に決めた現行計画をほぼ踏襲する内容だ。
原発には、放射性廃棄物の処分や核燃料サイクルなど長年の課題があるほか、福島の事故後、安全規制の強化でコストも膨らんだ。だが、説得力のある解決策は見当たらない。海外で急拡大する再生可能エネルギーについては「主力電源化」をめざす方針を示したが、電源比率の将来目標は据え置いた。
総じて、「脱炭素化」など世界各地で始まっている構造的な変化に、正面から向き合っているとは言えない。事故後に高まった原発稼働に反対する世論と政策のずれも解消されない。
こうなったのは、議論の進め方自体が旧態依然だからだ。
経産省が選んだ審議会の顔ぶれは、従来の路線に考えが近い専門家や経済人が大半を占める。検討の幅は狭く、原発依存度を下げるにはどんな手立てが必要か、再エネをどこまで増やせるか、議論は深まらない。
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