東京電力福島第1原発事故で唯一全町避難が続く双葉町は26日、JR常磐線双葉駅の周辺など一部地域について、来年3月4日に避難指示解除することで国や県と合意した。一方、今年4月に一部地域の避難指示が解除された大熊町も26日、翌日3月5日に大野駅周辺の避難指示解除することで合意した。JR東日本は来年3月14日、この2駅を含む常磐線富岡―浪江の運行を再開し、9年ぶりの全線開通を目指している。
伊沢史朗双葉町長は「解除はスタートラインにすぎない。4年後の特定復興再生拠点区域に向けて、職員が全力で取り組む。」と述べた。双葉町の場合、避難指示解除はするものの、町民の帰還を前提としていない。中間貯蔵施設建設の影響などもあり、これまでの街や住宅には戻れないことから、駅の西側エリアに位置する復興再生拠点に新たな住宅を整備するなど、全く新たな町づくりを進める。
聖火リレーで発信したい
避難指示解除の合意を受けて、伊沢町長は聖火リレーのコースに追加してもらえるように要望することも明らかにし、「もっとも被害が甚大な町だが、こうした厳しい中でも着々と復興が進んでいることや、住民の帰還が果たせるような状況にあることを発信できれば」と力を込めた。聖火リレーのコースは、「復興五輪」であることを踏まえ、「復興の姿を県内外にみなさんに見ていただけるルートにしたい。」と述べた。
一方、大熊町は、大野駅周辺、大野病院の敷地、JRの敷地など面積約28ヘクタールを解除する。鈴木正晃福島県副知事は、「一人でも多くの人が故郷に帰れるように、引き続き国に支援を求めていく。」と述べた。
双葉町、大熊町、富岡町の新たな避難指示解除を受け、国道6号沿いのバリケードは撤去し、立ち入りの緩和を行う方針。それぞれの避難指示解除日の午前0時から順次開けていく。新たなゲートは、解除エリアとは別のとこに設置する。
避難指示解除をめぐっては、「年間20ミリシーベルトより下回っていること」「生活環境の除染が進んでいること」「町民との協議」の3要件が定められている。国の原子力災害対策本部の松本洋平本部長は、「除染の効果が認められて、放射線量は十分低減している」と述べた上で、大熊町で3回と双葉町で11回の説明会を開催したことを踏まえて、避難指示解除の要件を満たしたとの考えを示した。
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