<原発事故>浪江町民 東電と国相手に27日に集団提訴 via 毎日新聞 (YAHOO! ニュース)

 東京電力福島第1原発事故の慰謝料増額を求め、福島県浪江町民約1万5000人が申し立てた国の裁判外紛争解決手続き(原発ADR)が打ち切られた問題で、町民を支援する弁護団は18日、東電と国を相手取り、27日に福島地裁に提訴すると明らかにした。ADRで示された和解案を尊重するとしていた東電が、和解を拒否し続けた「期待権侵害」に対する慰謝料を新たに盛り込むとしている。

この日、福島県郡山市で記者会見した弁護団によると、原発事故のADR打ち切りを受け集団訴訟を起こすのは全国で初めて。原告数は27日の第1次提訴で100人程度を見込んでおり、順次追加で提訴。最大で約2000人になる見通し。

請求するのは(1)避難(2)コミュニティー破壊(3)被ばく不安(4)期待権侵害--への慰謝料。町は昨年3月に帰還困難区域を除いて避難指示が解除されたが、訴訟では住んでいる地域に関わらず、全員で一律の金額を請求する。1人当たりの請求額や総額は未定。事故の責任を明確にするため、国も被告に加える。

町は2013年5月、町民の代理人として、1人あたり月10万円の精神的賠償を35万円に増額するよう求めて集団ADRを申し立てた。申立人は約1万5000人で、町民の約7割に上った。

国の原子力損害賠償紛争解決センターは14年3月、月5万円(75歳以上は最大月8万円)を一定期間上乗せする和解案を提示。町民の代理人としてADRを申し立てた町は受け入れたものの、東電が一律の和解を計6回にわたって繰り返し拒否したため、今年4月に和解手続きが打ち切られた。この間、高齢者など申立人約850人が亡くなったという。

この日は郡山市内で原告団の設立総会が開催された。記者会見で弁護団長の日置雅晴弁護士は「東電は和解案を筋道の通らない理由で拒否している。ADRが強制力を持たないことでないがしろにされている以上、提訴に踏み切ることでしか、町民を救済できない」と意義を説明した。【宮崎稔樹】

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これに対して、町は「古里から追われ、被ばくや避難生活など多種多様な被害で生活環境が変えられたのに、交通事故以下の基準は実態に合わない。町民は等しく被害を受けており、福祉を担う町が主体として申し立てるのは当たり前」として、今年6月に亡くなった馬場有(たもつ)前町長時代の13年5月、町が代理人となりADRを申し立てた。

4月に和解手続きが打ち切られた後も、町と弁護団は町民説明会を開き、提訴の意向や個別ADRの申し立ての意向をアンケートし、約2000人が提訴する考えを示した。訴訟で町は原告ではなく、町民と弁護団をつなげる形でサポートする。

この日の記者会見で原告団長の鈴木正一さん(68)は「ADRに関して国は傍観者で、東電は和解案の受諾拒否を続けて我々を裏切った」と批判。現在の賠償額については「自賠責保険を基に作られたもので常識的な基準ではない。町民の被害の甚大さを訴えていきたい」と語気を強めた。【宮崎稔樹】

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