二十年間の運転延長を認められた老朽原発の東海第二原発(茨城県東海村)が再稼働するためには、県と東海村に加え、水戸市や那珂市など三十キロ圏に含まれる五市から同意を得る必要がある。各自治体とも再稼働の是非を巡る住民意思のくみ取り方が定まっておらず、協議の行方は不透明だ。
日本原子力発電(原電)は今年三月、茨城県と東海村との間で結ぶ従来の安全協定とは別に、東海村を含む周辺六市村を対象とする全国初の協定を締結した。この協定では、原電と六市村による協議会で「合意形成を図る」と明記され、再稼働について「納得するまでとことん協議を継続する」と確認。一自治体でも反対すれば、再稼働できない仕組みだ。
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人口約二十七万人で六市村中最多の水戸市の高橋靖市長は、市民と専門家の代表が半々ずつ入る有識者会議の意見を参考にするとしている。常陸太田市は市民の代表者だけの組織を年内に設置して意見を聞くほか、日立市も市民による組織を設置予定。東海村は「未定」としている。
那珂市は、海野徹市長が十月に再稼働反対を表明。一六年度に実施した市民アンケートで、再稼働に反対の声が多かったことなどを理由に挙げた。ただし、二月に任期満了での市長選を控える。海野氏は出馬を明らかにしておらず、次期市長がどう判断するのかが焦点になる。 (山下葉月)