診療情報を3年放置〜福島県・甲状腺検査サポート事業 via Our Planet-TV

福島県が実施している「甲状腺検査サポート事業」をめぐり、県は2015年の事業開始から3年間、収集した患者の診療情報について、集計も分析も一切行っていなかったことが、OurPlanetTVの取材で分かった。同事業は、「診療情報の収集を行い、得られた情報を集計・分析し、その結果を県民に還元する」と目的に掲げているが、患者から集めた診療情報は、職員が個人的に中身を見るだけで、集計したり検討したことはなかったという。

甲状腺サポート事業は、一般診療となった甲状腺がん患者等の病気の状態を把握する、有効な手段の一つとされる中、県が、甲状腺がんの患者から高度な個人情報を収集する一方、書類をたなざらししていたことは、県民から批判を浴びそうだ。

甲状腺検査サポート事業は、甲状腺検査の2次検査以降が一般の保険診療となっていることから、「診療情報の収集に支障が生じる」との理由で2015年にスタートした。事業の対象となるのは、2次検査で甲状腺がんの疑いなどがある患者で、医療費の助成を受けるためには、申請書とともに、医療機関が記入した診療情報を提出することになっている。

しかし、OurPlanetTVが県の公文書開示請求したところ、臨床情報を集計したデータが存在しないことが判明。当初は、福島県立医大が集約していると説明していたが一転し、2015年7月の事業開始から2017年度までの2年半、患者の診療情報について一切、集計は行なっておらず、昨年6月に開催された第27回「県民健康調査」検討委員会で報告した文書以上のデータは存在しないと説明した。

この事実について理由や今後の方針について県に質問したところ、県民健康調査課の鈴木陽一課長はOurPlaentTVに対し、「特にコメントすることはない」として回答を拒否している。

(略)

民間企業に丸投げ
甲状腺検査サポート事業は、当初、福島県立医大に委託する予定だったが方針を転換。現在、医療・介護関連の大手ニチイ学館が受託し、案内書の発送から申請書の受理、問い合わせ電話の対応、決定通知書の発送などを担っている。

初年度の予算は約9200万円だったが、申請数が延びず、初年度の支出は1400万円に止まり、そのうち個人への医療費助成額は780万円程度。ニチイ学館への業務委託費は450万円だった。また事業2年目の2016年度は、1830万円ほどの予算に対し、交付した医療費助成額は450万円に止まり、業務委託費が570万円と支援金を上回った。

長く治療を継続している患者にとって、毎回、申請をするたびに、5000円もの費用をかけて診療情報を取得する必要がある同事業は、「手続きが煩雑」だと評判が悪い。

全文は診療情報を3年放置〜福島県・甲状腺検査サポート事業

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