福島第1原発事故 影響で県産品取り扱い戻らず 農水省が初の流通調査 /福島 via 毎日新聞

東京電力福島第1原発事故による県産農林水産物の販売不振を解消するため、農林水産省が流通業者を対象に初の実態調査を行った。不当に安い値で取引される「買いたたき」は確認されなかった一方、事故後に取り扱いをやめて以来、他県産から県産に戻す理由を見いだせないという事業者が多かった。コメやモモが震災前の価格水準に回復していない背景にはこうした流通構造の固定化があるとみられ、国は業界に指導と協力要請をしている。【尾崎修二】

調査を行ったのはコンサルタント会社のアクセンチュア。コメや青果物、畜産物、キノコ、水産物の5分類20品目について、昨年度、生産・流通・販売など730の事業者・団体に聞き取りやアンケートを実施した。価格についても、国や東京都中央卸売市場の統計データを利用し分析した。

県産品と全国平均の価格差を調べたところ、多くの品目で震災前よりも差が広がっていた。コメや牛肉の価格差は縮小傾向だが、一時縮小していたモモは再び差が拡大している。一方、キュウリは震災前と同水準に回復していた。

コメ、業務用にシフト

 県産米について、全国400店のスーパーマーケットを分析したところ、震災前、全県的につくられたコシヒカリを扱う店は7%前後、会津地方でつくられたコシヒカリを扱う店が10%前後あった一方、現在は県産が0・1%未満、会津産が4%と大幅に落ち込んだままだった。

(略)

モモ、贈答用は回復せず

 県産モモは、小売業者や直販農家からも「取り扱いは再開済み」「市場価格も回復した」という声が目立った。一方、贈答品を販売する百貨店などでは、震災後に長野や山梨県産に切り替え、現在も福島県産に戻していないケースが多かったという。

牛肉、他産地からの変更に慎重

 牛肉も、価格水準の戻らない品目の一つだ。単価が高く消費期限も短い畜産物は、売れなかったときのリスクが大きいため、小売業者は商品構成の変更に慎重な傾向が強いという。ある小売業者は「安全性は証明されているが、(消費者に)対面で説明するのが大変なのがネック」と指摘していた。

キュウリ、品質評価の声

 全国有数の生産量を誇るキュウリは、多くの小売業者が取り扱いを回復させていた。卸売業者からも「7~8月に福島産は高いシェアがあり、福島産を扱わないと棚を維持できない」「栽培技術に優れ、品質も高評価」などの声が目立ったという。

「他県と対等に」 3省庁、業界に協力要請

 今回の調査結果を受け、農水省、経済産業省、復興庁の3省庁は先月下旬、食品流通の業界団体に、他県産と対等な県産品の取り扱いや、県産品のブランド力向上への協力を求める通知を出した。

全文は福島第1原発事故 影響で県産品取り扱い戻らず 農水省が初の流通調査 /福島

This entry was posted in *日本語 and tagged , , . Bookmark the permalink.

Leave a Reply