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「根本原因は建設にあった。米国では新規建設が30年以上もなく、知識や経験の欠如が現実のものになっていた」。グティエレス氏は24日、米西部アリゾナ州で開かれた米原子力業界の会合で、経営破綻の経緯を語った。同社によると、破産法申請後、グティエレス氏が公の場に出席するのは初めてで、「建設続行が決まれば、建設事業を除き、いかなる業務でも提供する」と述べ、従来の建設の主導役を降り、原子炉技術や機材の供給といった支援に回る方針を示した。
WHは2006年に東芝が買収。08年に米国でボーグル原発3、4号機(ジョージア州)、VCサマー原発2、3号機(サウスカロライナ州)の建設を受注した。しかし、建設が遅れた場合の費用増をWHが負担する「固定価格契約」を結んだため、建設遅延に伴う損失拡大に歯止めがかからない状態に陥った。破産法の適用申請を機に、リスクの高い建設事業から撤退し、安定収益が見込める核燃料事業や技術・機材供給を再建の柱にするとみられる。
こうしたWHの方針を受け、原発の発注元のサザン電力とスキャナ電力は、費用増を覚悟してでも建設を続けるか、建設を断念するか6月中にも判断する方針だ。ただ費用の見積もりに時間がかかり、判断時期が夏ごろまで延びる可能性もあるという。
米政府は「エネルギー・国家安全保障の強化」などの観点から、WH再建に「強い関心」を表明している。建設断念となれば、地域経済や雇用にも影響するため、政府が介入する可能性もある。
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